近未来超能力戦記
サイコロキャラメル


世間のインタネットHPでは、
どうやら、へっぽこ自作小説を載せるトコが多いですね。
本人はとても楽しそうなので、私もやってみました。

ちなみにこの小説は、前後がありません。
どういう経緯でこうなったのか?
どういう結末で、終わるのか?
その辺は、皆さんで適当に考えて下さい。



第26章
崩壊の兆し



  その六

 タオ老人は夜の窓に映るしわだらけの自分の顔を見ながら、老いたなと呟いた。 禿げ上がった頭、顔の下半分を埋めつくす白い髭。 しわに隠れた2つの瞳にも、もはや精気は見られない。
 「何かおっしゃいましたか?」 奥のデスクで作業を続けていた片町が顔を上げた。 黒縁の眼鏡には、作業中のコンピュータの画面が映っている。
 「こうして、窓に映る自分を見ているとな、死相が浮かんでおるのが良く分かる。」 老人はそういうと、ククッと笑った。
 「・・・延命手術は行わないのですか? 博士。」 片町は作業を中断して、立ち上がった。 軽く黒髪を後ろになでつけると、老人の隣へ足を進めた。
 「機械化は記憶と演算能力だけで充分だよ。 ジェイドの様に脳ミソをそっくり入れ替えるのは我慢できん。」
 「司令官を呼び捨てにされない方が・・・」
 「知ってるか、片町? アイツは食事のかわりにコンセントに足の指を入れて充電するんだぞ。 アレが人間か?」
 「タオ博士。」
 「構わん、ワシに残された仕事は、死ぬだけだ。」
 老博士はそう言うと、煙草に火をつけた。 煙草の廃止は30年も前に決定されたが、この老人は一向に止める気配がない。 そもそもあの煙草はいつも、どこから手に入れるのだろうか。
 「・・・ワシは明日、香港に帰る。」老人は煙を吐きながら、窓に映る片町に話しかけた。
 「香港は壊滅状態ですよ。」
 「人間最後は故郷に帰りたくなるものだよ。」老人は夜に輝く灰色の都市を見下ろした。 「それに、ワシの様な犯罪者は、廃墟で死なねばならん。」
 「・・・博士の研究はご立派です。」片町は力強く言った。
 「・・・だが、サイコロ・キャラメルは造るべきではなかった。」老人は目を閉じた。

  その七

 スージーが「アポロ記念館」に到着したのは1時を少し回った所だった。 やたらと大きいその建物には、予想通り1人の見物客も目に付かなかった。 受付には濃紺の制服を着た一人の青年が、椅子に反り返って眠っていた。
 「起きなさいよ、渋谷。」スージーは眠っている青年に向かって怒鳴りつけた。 青年はその一声で体をビクッっとさせると、慌てて椅子に座り直した。
 「いらっしゃい、お1人様10ドル頂戴いたします。」 渋谷は目をこすりながら言った。
 「寝ぼけてんじゃないよ。」スージーは渋谷の髪を引っ張り、顔を持ち上げた。
 「ああ、スージーかよ、脅かすなよ。」渋谷は髪からスージーの手をはがすと、机の引き出しから書類を取り出した。
 「デミアンの様子は?」スージーは小声で聞いた。
 「小声じゃなくても良いよ、ここはムーンシティで一番人気のない所だから。 今更アームストロングさんの足跡なんか誰も見ないってのに。 ・・・ええと、こっちに向かってるのは、白虎隊だけだな。 超能力者は23人。 機械は「カステラ」と「パルテノン」だ。」
 「白虎隊と言えば・・・」
 「ああ、超能力者エルマーがいる。 タイム・コントロールを使うぞ。」渋谷はそう言うと、スージーに書類を渡した。
 「となると・・・佐藤が必要だな。」スージーはそう呟くと、美しい金髪をひるがえし、立ち去った。 が、ふと立ち止まると、渋谷の方を振り向いた。
 「そういや、パウロはどうした?」
 「昨日、ムーンシティを出て、地球に帰った。 「ダブリン」の歯車を作るんだとよ」渋谷は、機械化された右手の付け根に、ドライバーを当てながら言った。
 「・・・そりゃ、困った。」スージーは顎を右手の親指と人差し指で挟みながら言った。

  その八

 「そこに居るんだろ?」書斎の椅子に腰掛けながら歌川は天井を見上げた。白い天井には何も見えなかった。
 「なんだ、気付いてたのか。」白い天井から不意に少年が現れた。 天井よりも白い肌を持った、人形の様な少年だ。
 「何の用だ、冬夜?」歌川は空に浮かぶ少年、冬夜に向かって言った。
 「指輪を返せよ、歌川。」冬夜は表情一つ変えずに言った。 視線は歌川の右手の中指にはめられている指輪を見ていた。
 「ふざけるなよ、化け物。」
 「それは俺のじゃないか。」冬夜は声を上げたが表情は変わらない。
 「初めはな。 だが、お前が持つとロクな事が起こらない。」歌川は微笑みながら言った。
 「大人しく返さないと、ドルフみたいにするぞ。」
 歌川の笑みが止まった。 
 「・・・貴様、ドルフに何をした。」
 「どうやって殺されたかを聞きたいのかい?」冬夜は初めて表情を崩し、笑った。
 歌川は右手を冬夜の方へ向けた。 歌川の右手と冬夜を結ぶ線が一瞬歪んだ。 次の瞬間、冬夜は天井に叩きつけられた。 白い天井にヒビが入る。
 「貴様、許さんぞ。」歌川は冬夜を睨んだ。
 「・・・お前程度が指輪を持ったって恐くないんだよ。」冬夜はそう叫ぶと、書斎の窓ガラスが一斉に割れた。 歌川に激しい頭痛が襲いかかる。
 「や、止めろ。」歌川は頭を押さえながら呻いた。
 「指輪をよこせよ。」冬夜は笑いながら言った、書斎の歪みが激しくなる。
 「・・・こっちには切り札があるんだぞ。」歌川がそう叫んだ。
 「へん、何を持ってこようって言うんだよ。」冬夜の力は止まらない。 
 「・・・サイコロキャラメルを発動させるぞ。」歌川は叫んだ。
 その瞬間、書斎の歪みが一瞬にして止まった。 浮き上がっていた書物がバラバラと落ちてくる。
 「・・・何だって・・・」冬夜の頬に汗が流れた。
 「サイコロキャラメルを発動させると言ったんだ。 いくらお前が最強の超能力者でも、アレは止められないだろ。」歌川は頭を押さえ
ながら言った。 脳が歪んだかも知れない。
 「・・・地球を消す気かよ?」冬夜は歌川を睨みながら言った。
 「お前次第だ。」歌川はニヤリと笑った。
 「・・・今度また指輪を取り返しに来る。 サイコロキャラメルも奪ってやる。」冬夜はそう言うと白い天井に溶け込んでいった。
 「・・・出来るかな?」歌川はそう言うと、割れた窓を見た。 窓の外には、デミアンの旗がたなびいていた。

  その七

 かごめ、かごめ
 かごのもんにとぢこめた
 かちかちまわる
 きかいのすきま
 ひともおにもすぅべった
 うしろのしょうめん、だぁれ  




ウンザリしてきたので、この辺で止めときます。
後は適当に想像して下さい。
真剣に考えると楽しいですよ。
各自宿題ですよ。


続きは無いよ