レンズの奥から世界を見つめて、20年目になりました。
もし、この繊細な矯正器具が世に存在しなかったならば
私は愛する人々の顔も見分けられなかったことでしょう。
もし、この歪曲したフィルターが目の前になかったならば
私の目には悲しい現実しか映らなかったことでしょう。
ワインの赤色、海の青色、人の優しさ、星空の美しさ
フレームの重みと引き替えに、私は透明な翼を手に入れました。
20年目の晴れた午後。
すべてのメガネに祈りをこめて。
2004年1月 鷹司実朝