ハテナくんおにいさん


-第1回-


 「さあ、いよいよ始まったよ。 おにいさんに聞いてみよう!」

 「もう始まったんだね」

 「うん。 さすがに1回目くらいはちゃんと答えておかないとね」

 「そのうちにね」

 「今がそのうちなんだよ!

 「ところで、質問は来たのかい?」

 「もちろん。 今回の応募はなんと2人だよ!

 「へえ、良い感じに少ないね

 「・・・そうだよね」

 「まあ落ち込まないよ、ハテナくん。 おにいさんからすれば予想通りだったんだよ」

 「そうなの?」

 「うん。 4、5年前ならいざ知らず、今時テキストだけで訪問者のご機嫌を伺おうなんて、おこがましいんだよ

 「えー。 そうなのかなー」

 「そうだよ。 せっかくのインターネットだというのに、絵も音もない、文章だけのお話なんて誰が読むというんだい?

 「・・・色んな意味で怖いこと言うね、おにいさんって」

 「そうかい? ハテナくんはそう思わないかい?」

 「うーん。 そうだね、そんな気もするね」

 「そうさ。 そもそもホラーなんてモノは、音と映像を交えた方がよっぽど、」

 「え? 何の話だい!? おにいさん!


(閑話休題)


 「それで、何の話だっけ?」

 「質問に答えるお話です」

 「ああ、そうか。 じゃあ、」

 「・・・こんばんは」

 「わあ、おねえさんだ。 いらっしゃい」

 「いいタイミングで来たね」

 「呼ばれたから」

 「電波かい?

 「すごいやおねえさん! 受信もできるんだ!

 「あんたが呼んだんじゃない」

 「まあ一部の人にはウケが良かったからね。 とりあえず呼んでおいたよ」

 「おねえさん、人気者だね」

 「・・・喜んで良いのかなあ」


Q1.
この間家に初めてゴキブリが出ました。コレではいかんと思い、ゴキブリホイホイと殺虫剤完備で戻り、完全武装形態で待つこと一日。仕事場から戻ったときに物音がしてそちらの様子を見るとゴキだけじゃなくネズミまでいました。もう絶望です。明日は良い日だといいなあと思いました、まる
あとハテナ君の作り方を教えてください。
(yuuさん)


 「さあ、しっかり答えてくれたまえ

 「え? 私が?」

 「わあ。 教えておねえさん」

 「思いっきりあなた宛の質問じゃない」

 「とんでもない。 僕は虫の専門家じゃない」

 「質問はその後よ。 って何で私が虫専門なのよ」

 「そうか、じゃあハテナくんに答えてもらおう」

 「え? なんでボクなの?」

 「虫族の代表として

 「ええ!? ボク、虫なの?」

 「虫みたいなもんだよ」

 「そうなんだ。 じゃあボクの作り方って、卵?

 「気持ち悪い奴だな」

 「ええ!?

 「ちゃんと答えてあげれば?」

 「ハテナくんの作り方かい? うーん、そうしたいのは山々だけど、残念ながらそうもいかないんだよ」

 「どうして?」

 「だって、僕が制作工程をレクチャーしたりなんかしたら、皆がこぞって作り出すじゃないか」

 「何を?」

 「君を」

 「良いじゃない。 ハテナくんだったら私も一人欲しいな」

 「わあい。 おねえさんといっしょだ」

 「何に使うつもりだい?

 「どういう質問よ」

 「ともかく、僕はハテナくんを増やすつもりはないから。 せっかくだけど作り方は教えられないよ」

 「おにいさんだけのボクってことだね」

 「そういう事だね。 やっとここまで駆除できたんだし

 「え? やっぱり虫族なの? ボク」


Q2.
引き出しの奥から高校時代の臨海学校の写真のデータの入ったMOが見つかりました。遠泳後、虚ろな目で砂浜を這う同級生の画像が30枚近くあります。どうしたらいいのでしょう?
(匿名希望さん)


 「海にかえすと良いよ

 「キャッチあんどリリースだね、おにいさん」

 「臨海学校の写真がデータというのも、何か今時っぽいね」

 「今風にロクな使い方してない様だね」

 「容赦ないね。 おにいさん」

 「で、海にかえす、で終わり?」

 「環境破壊は良くないよ」

 「お魚さんが困っちゃうね」

 「魚に『困る』という感覚はないけどね」

 「揚げ足とるなあ」

 「じゃ、どうするんだい? おにいさん」

 「そりゃあ、今風の対処をして貰わないとね」

 「今風って、どんなの?」

 「ネット配信

 「わあ、なんか凄そう!」

 「そういう曖昧な幻想はもうそろそろ捨てるべきだよ。 ハテナくん」

 「で、具体的には?」

 「というか、それがどんな画像なのかが分からないからね」

 「ああ、それもそうかも」

 「とりあえず、その画像の中でも選りすぐりの一枚を鷹司にでも送りつけてやれば、何とかやってくれるだろう」

 「ボクらも見れるしね」

 「送って来なかったら?」

 「それならそれで良いさ。 一生、変な画像と後悔を胸に抱いて眠ると良い

 「わあ。 いきなり怖くなるね」


 「じゃ、今回はここまでだよ。」

 「ああ、これくらいだと楽で良いね」

 「次の質問が来なかったら、どうするの?」

 「その時はその時だよ。 時代が僕達を必要としなかったという訳だね」

 「えー。 なんか、寂しいね」

 「それは、今まで必要とされていた者が使うセリフだよ

[つづく]