ハテナくんおにいさん


-第5回-


「さあ、いよいよ第5回だよ! 今回も張り切っていくよー!」

気を付けてね

「いや、おにいさんもだよ」

「かったるいなあ」

「そんな、ハッキリ言わないでよ」

「まだ質問届いてるんだ」

「いや、実は今回が最終回だよ」

「あ、そうなんだ」

「ええー! 残念」

「まあ企画倒れとは得てしてそういうものだよ」

「そんな、ハッキリ言わないでよ」



Q15.
「しちめんどうくさい」の「しち」って何ですか? 「めんどうくさい」とどのような違いが発生するのでしょうか。
(トドメワラシさん)


「なかなか面倒くさい質問だね」

「でも気になるよね、これって」

「違いなんてあるの?」

「当然あるね。 でないと言葉を分ける意味もないよ」

「まあ、そうだね」

「どう違うの?」

漢字が違うよ

「七面倒臭い、じゃないの?」

「惜しいね。 七面独裁

「あ、そっちの漢字が違うんだ」

「七面って何?」

「東西南北上中下。 この3次元世界全てを支配するという意味だよ。 釈迦の『天上天下唯我独尊』に近いね」

「わあ、なんか格好いい!」

「つまり……どういう事?」

『もの凄く面倒くさい』という事だよ」

「あ、なるほど」

「面倒なんだ」

「大抵の人は自国を統治する事すら大変なんだよ」

「で、その『七面独裁』ってどうやって生まれた言葉なの? 仏教」

「いや、メキシコ出身のプロボクサーで世界バンタム級チャンピオンの『シチ・メンドーサ』を評して生まれた言葉だよ。 向かう所敵なしのまさしく『七面独裁』状態であったが為に、矢吹ジョーの様な面倒くさい相手に潰される運命を辿ってしまったという事だよ」

「どこかで聞いたね」



Q15.
『THE CHAT』を読んでる間に尻で盛大にメガネを踏んであらぬ方向にフレームが曲がってしまったのですが、こんな時はどういう叫び方が最も適しているんでしょうか、世界のメガネキングおよび皆様のリアクションなんぞをひとつご教授くださいませ。
(かずやさん)


あんな本読んでいるからだよ

「そんな事言っちゃダメだよ。 ありがとう! 鷹司に代わってボクがお礼を言いますよ」

「メガネ曲げちゃったけどね」

「で、これは皆を集めてリアクションして貰わないといけないんだね」

「そうだね。じゃあボクちょっと皆を呼んでくるよ!」

「よし。 車に気をつけるんだよ」

「はぁい」

「知らない人について行っちゃ駄目だよ」

「はーい」

「困ったら近くの大人を巻き添えにするんだよ」

「大丈夫だよ。 行ってきまーす!」

ばたん

「……」

「……」

「……」

「……」

「……一緒に行ってあげようという気はないのかい?」

え、私が!?





「ただいまー!」

「知らない人を連れて来ちゃ駄目じゃないか」

ヘイヘイヘイ! それは一体どういう意味だい? ゲイツを知らないなんて世界を知らないのと同じ事だぞ

「こんにちは、ジョブズG5です」

「G5のGはゲイツのGだ」

「お姉さん、こんにちは! あなたというメインディッシュにちょっとしたグリーンを。 モテモテのパセリ君です!」

「ああ、ファミレスで使い回されるヤツね」

「久しぶりだな。『2000万パワーズ』ことモモ&うすわらいだ」

「タッグを組んでいたとは知らなかったよ」

「わあ。格好いいね」

ロングホーン・トレイーン!!

ぎゃああぁぁ!

「そんなにサービスしなくても良いよ」

「質問によるとメガネが必要だそうじゃないか、これを使え」

「僕のメガネ……」

「じゃあまず誰からやろうか」


ぐしゃ


「わあっ!」

……虫けらがっ!

「男らしいね、じゃあ次、ジョブズさん」

「ああ、うん」


ぐしゃ


「う、うひゃー、こりゃあ参った。 丈夫なiPodだったらこんな事もなかったろうに

照れすぎ。 あと強引に宣伝しない事」

「難しいね」

「じゃ次、パセリくん」

「僕の、メガネなんですけど……」

「ん? そんな質問だったかい?」

「……」


ぐしゃ


「ああー、メガネが壊れちゃった! 困ったなあ、これでますますモテモテになるじゃないかー

「余計に貧相に見えるけど」


すちゃ


ふん、貧相で結構です! もうメガネは渡しませんよ! 全くあなた達はいつも無茶苦茶ばっかりする……」

クロスボンバー!!

ぎゃああぁぁ、メガネがー!


ひらひら


「じゃあ次、おねえさん」

「私も!?」

「みんなだよ」

「うーん……」


くにょ


「あ……」

「え?」

「……メガネの、ツルが……刺さって、ててて……」

「それは新しいね

「新しいとかじゃなくて……マジで」

「言わん事じゃない! メガネを甘く見るからだ

「おねえさん、大丈夫ですか? 抜きましょうか! その後さすりましょうか!


ぺちーん


「そんなに刺さってないわよ」

「それじゃあ、ハテナくんもやってみなさい」

「うん。 ゴメンねパセリ君」

「もう……いいよ」


ぐしゃ


「……レンズはプラスチック。 フレームはニッケル合金、銀メッキ……」

「おお」

「どうやら新しい機能が発見された様だね」

「おにいさんもやりなよ」

「ん? ああ、そうだね」


めきゃ


「……」

「……?」

「……」

「……あの、おにいさん」

「ん?」

「無反応?」

「ああ、うん。 別に、僕のじゃないし

「うわぁ……」

「ヒデェな」

「そんなもんだよ。じゃ、ゲイツさん」

「なんだなんだ、ボクの反応は散々ニュースの記事にされているじゃないか、何を今更、今更何を」

メガネを踏み潰した時の反応はまだ掲載されていないよ」

「ふむ。 しからば」


がきょ


「……おーやおやおや、ボクとしたことが、これは『尻メガネ』じゃなかった様だね。 HAHAHA……」

「尻メガネ?」

「ちょっとハイレベル過ぎるね」

「ふふん。 いたしかたあるまいて!」

「ええと、以上かな?」


ずがしゃーん


「あ……」

「うすわらい……」


ぐしゃ、ぐしゃぐしゃ、ごり、ごり


「いや、あの、うすわらい、さん?」


ざしゅ、ざしゅ、がしゅ、がしゅ


ちょっちょっと、待って! 止めて! ダメダメダメ! なんかもう、粉になってきてる!!

「あーあ」

「どうやら感触を楽しんでいる様だね」


「これで、突発企画『そのうちおにいさんに聞いてみよう』はお終いだよ!」

「おや、そうなのかい」

「質問がなくなったからね」

「じゃあしょうがないね」

「次はどうするんだろうね」

次なんてあるのかい?

「え、ないの? あるさ! きっとまたやるよ」

「質問募集もやめちゃったのに」

充電期間だよ! よりパワーアップして戻ってくるために!」

「ノートパソコンだと真っ先に故障するのがそのバッテリーだね。 ずっとコンセントに繋いでいても、ちっとも充電しなくなる」

「……いいんだ。 ボクは信じているよ」

「それは悪くない。 裏切られる可能性があるからこそ人は信じるものだよ。 全てが間違いなければ誰も手を合わせない」

「……いつの日かきっと、また毎月の様にボクらの活躍が報告できるようになるんだ」

「つまり鷹司がまたヒマな無職になるという事だね」

「……そう、かも」

「まあ期待するなら、自分の幸福より他人の不幸の方が良い。 リスクも少ないしね」



−おしまい−