-君-



「星をみるひと」

僕は今日も星を見る
一番高い塔の上で
遥か彼方の星を見る
世界が終わるその日まで
僕は今日も星を見る
月が見えない闇夜の下
遥か彼方の星を見る
僕が消えるその日まで

幾千万の星屑を1つまた1つ見て歩く
君が消えたその日から君の星を探してる

僕は今夜も星を見る
灰色の街の真ん中
遥か彼方の星を見る
君に会えるその日まで

機械に埋もれたこの場所で見えない星を見て歩く
君が消えたその日から僕はなにもしていない

僕はもうすぐ消えて行く
そしたら君に会いに行ける
星を見る人は今夜
星になって輝くよ


「梅吹雪」

ベッドの上で気付いていた
彼女がそこにいることを
窓を開けると北風に
ほのかに香る梅の花
窓から見える高い空
風は少し冷たいけど
彼女はそこで舞いながら
春に向かって手をたたく

ピストルの音(ね)と、君の歌が
風をピンクに染め上げる
冷たい風に、舞う梅吹雪
春がそこにやってきた

机の上の宝箱に
ピンクに染まったピストル
去年に買った古い火薬
ピンクの銃に詰め込んだ
窓から見える高い空
風は少し冷たいけど
彼女はそこで舞いながら
春に向かって手を振った

乾いた風と、凍った川が
音も立てずに消えて行く
窓の外に、火薬のにおい
春の出番がやってきた

ピストルの音と、君の歌が
風をピンクに染め上げる
冷たい風に、舞う梅吹雪
春がそこにやってきた



「月とコウモリ傘」

夜も遅くなった時、僕は外へ飛び出した
白い僕の右手には、お気に入りのコウモリ傘
誰もいない街の中、晴れた空の街の中
コウモリ傘をさしていく、だって今夜は満月だから

月の光をたくさん浴びて、コウモリ傘が光ってる
水面にうつるまるい姿、今夜はとっても青い月

月があんなに明るいから、いつもの街がこんなに美しい
青い月が輝くから、いつもの僕がこわれてしまうんだ

夜も遅くなった時、僕は外へ飛び出した
白い僕の左手に、君のぶんのコウモリ傘
誰もいない街の中、君の家に向かってる
コウモリ傘をさしていく、だって今夜は満月だから

月の光をその背にうけて、コウモリ傘が光ってる
貼り付けたような空の上、今夜はとっても青い月

今夜の月は綺麗だから、いつもの君がこんなに美しい
青い月が輝くから、いつもの君がこわれてしまう

とても静かな街の中には、コウモリ傘が2つだけ
光る2つのコウモリ傘、今夜はとっても青い月

空がこんなに暗いおかげで、僕らも月もこんなに美しい
青い月が輝くから、コウモリ傘を開いて歩くんだ


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