ハテナくんおにいさん
ワールドカップの謎
ハテナくん絵20枚目


ハテナくん「そこだーいけー、シュートだー!!」

おにいさん「やあハテナくん気でも狂ったかい?

ハテナくん「違うよ、サッカーを観ているんだよ。」

おにいさん「へぇ、ハテナくん、サッカーのルールなんて知ってるのかい?」

ハテナくん「バカにしないでよ! それくらい知ってらい!」

おにいさん「ホントかな?」

ハテナくん「ホントだい! だいぶ前におにいさんが教えてくれたじゃない。(参照)

おにいさん「そうなんだ。」

ハテナくん「覚えてないの?」

おにいさん覚える気がないんだよ。

ハテナくん「じゃあしょうがないよ。」

おにいさん「割と薄情だね。」

ハテナくん「それよりおにいさん、いよいよだよ!」

おにいさん入院かい?

ハテナくん「違うよ、ワールドカップだよ。」

おにいさん「ああ、そうだね。」

ハテナくん「ボク、サッカーが大好きだから、ワクワクしているんだ!」

おにいさん「へえ、いつからそういう設定になったんだい?

ハテナくん「知らないけど、そうなの!」

おにいさん「そうなんだ。 じゃあワールドカップ情報にも詳しいんだね。」」

ハテナくん「うん。 でも分からないことも多いんだ。」

おにいさん「人生の大半はそういうものだよ。」

ハテナくんおにいさん、ワールドカップにも詳しいの?」

おにいさん「まあ、おにいさん程ワールドカップに精通している人間もいないと思うよ。」

ハテナくん「へえ、じゃあボクのギモンに答えておくれよ。」

おにいさんそいつぁできない相談だね。

ハテナくん「いやいや、話が進まないから。」


ワールドカップって何?



おにいさん「サッカー競技じゃないか。 そんな事も知らないのかい?」

ハテナくん「それは知ってるさ。 でも『ワールドカップ』ってのは何なの?」

おにいさん「優勝チームに渡されるカップの事だよ。」

ハテナくん「ずっと気になっていたんだけど、なんでカップを渡すの? もっと良いモノをあげれば良いじゃない。 お菓子とかおもちゃとか。」

おにいさん「分かっていないなあハテナくん。 ハテナくんは分かっていないなあ。」

ハテナくん「言い直さないでよ。」

おにいさん「じゃあ連想ゲームをしよう。 ハテナくん、サッカーといえば?」

ハテナくん「サッカーといえば・・・ボール?」

おにいさん「良いね。 じゃあボールといえば?」

ハテナくん「・・・丸い?」

おにいさん「丸いと言えば?」

ハテナくん「・・・四角?」

おにいさん「いや、ボールというモノは?」

ハテナくん「・・・コロコロ転がる?」

おにいさん「そういうことだよ。」

ハテナくん「どういうこと?」

おにいさんワールドカップというのはね、『ボール置き台』なんだよ。

ハテナくん「ああ! 転がらないように!」

おにいさん「そう、サッカーする時に一番困ることは、ボールが転がる事だからね。 すぐにあっちこっちに転がっちゃうから、みんな追いかけなくちゃならない。」

ハテナくん「そうかあ、だからみんなボール置き台が欲しいから、競うんだね。」

おにいさん「そう、優勝者。 つまり一番ボールを追いかけ続けているチームに、ボール置き台は渡されるんだよ。 可哀想だから。

ハテナくん「じゃあ、じゃあサッカーってのは。」

おにいさん「そう、みんな仕方なくやっているんだよ。 ホントは誰もやりたくないんだよ。」

ハテナくん「そうだったんだあ。 ボクはみんな好きでやっているのかと思っていたよ。」

おにいさん「そんな奇特な人はいないよ。」

ハテナくん「・・・そういえば、お相撲で優勝してもカップが貰えるね。 あれはどうして。」

おにいさん「あれも同じ。 『力士置き台』だよ。 転がらないようにね。」



日本のマークはどうしてカラスなの?


おにいさん「日本サッカー協会のマークだね。」

ハテナくん「でもどうしてカラスなの? カラスってあんまり良い感じしないじゃない。」

おにいさん「確かにイメージはよくないね。 ゴミは荒らすし、人に近づくし、黒光りしているし。 でもこのカラスは違うんだよ。 よく観てごらん。」

実は70年以上続けられているマーク

ハテナくん「あれ? 足が3本あるよ。」

おにいさん「そうだね。 これは八咫烏(ヤタガラス)といってね、和歌山県の熊野三山の霊鳥として崇められているんだよ。」

ハテナくん「足が多いカラスは神様なの?」

おにいさん「まあね。 これはほぼ世界共通の観念でもあるけど、医療や生物学が未発達だった昔はね、足が3本あったり、頭が二つあったりする、いわゆる異常発達の生物はね、その神秘性から神様の使いと思われていたんだよ。」

ハテナくん「へえ、そうなんだ。」

おにいさん「人間でもね、生まれ付き目が見えない、耳が聞こえない、喋れない、背が伸びない、指が多い等の障害を持った人は、神の使いとして崇められていた事もあるんだよ。 それもまた差別といえばそうだけど、みんな原因が分からなかったからね。」

ハテナくん「そうなんだ。 だから日本のマークは三本足のカラスなんだ。」

おにいさん「そう。 発育障害による奇形だと分かっている現代でもね。 まあ伝説上の生物として観ているんだろうけど。」

ハテナくん「でも、どうせならもっとみんなが知っている神様にすれば良いのにね。」

おにいさん「足が多いってのが良いんだろうね。 サッカーだけに。

ハテナくん「ああ、そういうことかな。」

おにいさん「無表情で、ゴミを荒らして、光りものを集めて、道端でカーッって鳴いて痰を吐く習性からも、これこそが日本の象徴だとしたというのもあるだろうね。」

ハテナくん「そんな象徴ヤだなあ。」

おにいさん「まあ実際は、熊野出身で「日本近代サッカーの始祖」とされる旧東京高等師範学校フットボール部理事・中村覚之助という人のわがままでそうなったんだけどね。」

ハテナくん「サラッと生々しい事実を言うね。」



トルシエって何?


おにいさん「日本チームの監督さんだね。」

ハテナくん「あの人って日本人なの?」

おにいさん「まあね、火理津府・斗屡死恵(ふぃりっぷ・とるしえ)というれっきとした日本人だよ。」

ハテナくん「・・・ウソでしょ。」

おにいさん「うん。 おフランス人だよ。 今までは四角い顔の加茂ジャパンとか、鉄道にはちょっとうるさそうな岡田ジャパンだったけど、今はおフランス人のトルシエジャパンという変なカタチになっているね。」

ハテナくん「なんでおフランス人さんが、日本チームの監督なの?」

おにいさん「おフランスといえば、サッカー強国の一つだね。」

ハテナくん「うん。」

おにいさん「強い国というのは、そりゃあ鍛え方が優れているというのもあるだろうけど、相手国の情報に精通している事も肝心なんだよ。 どの国の誰が強いから、どういう戦略でいくかとかね。」

ハテナくん「そうだろうね。」

おにいさん「近年、日本サッカーの技術力は目覚ましい成長を続けているんだよ。 日本人にとってみれば結構なことだろうけど、相手国にとってみれば今までノーマークだった国が急成長されるのは脅威であったりもするんだよ。」

ハテナくん「ああ、情報が少ないから。」

おにいさん「そう。 だからトルシエが送り込まれたんだよ。」

ハテナくん「え!? それって・・・」

おにいさんスパイだよ。」

ハテナくん「スパイなの? トルシエさん。 あんなに堂々としているのに。」

おにいさん「初めは外国人記者のフリをして潜入させようとしたけれど、それだけでは完全な情報は得られない。 じゃあ助っ人外人として潜り込ませるか、でも油断すると帰化して変な日本名を付けられるかも知れない。 じゃあもう、いちかばちか監督として入れてやれとしたんだ。 見事成功しているね。」

ハテナくん「その発想もすごいね。」

おにいさん「おフランス人特有のおおらかな気質だね。 そしてオシャレだ。」

ハテナくん「でも良いのかい? どんどん情報がおフランスに流れていっているんでしょ?」

おにいさん「うん。 どうやらもうおフランスでは、日本人がチョンマゲハカマじゃない事がバレてしまっているみたいだよ。」

ハテナくん「わあ、使えないね、トルシエスパイ。」



日本は勝つの?


おにいさん「難しいね。 『愛は勝つ』と唄っていた人も、今じゃ負けてるっぽいだけに。」

ハテナくん「それは関係ないよ。」

おにいさん「出場国32カ国中、初出場を除けばチュニジア・韓国・南アフリカ・トルコと並んで最下位だからね。」

ハテナくん「あ、そんなに弱いんだ。」

おにいさん「その弱さと国家的に無理矢理盛り上げようとする事のギャップが、現在のような『いまいち感』を産み出しているんだよ。」

ハテナくん「でも今回は日本でやるんでしょ、じゃあちょっとは有利なんじゃない?」

おにいさん「有利であっても、優勝は難しいと思うよ。」

ハテナくん「優勝は難しいかも知れないけど、結構良い所までは・・・」

おにいさん優勝以外はクズじゃないか。

ハテナくん「うわっ、厳しいね。」

おにいさんハテナくん、日本で開催されるという事がどういう事か分かっているのかい?」

ハテナくん「どういう事?」

おにいさん「一気に増えるんだよ。 サッカーボールが。」

ハテナくん「え? あ! そうか。」

おにいさん「最初の話に繋がるんだよ。 一体誰がそれだけのボールの面倒をみるんだい?

ハテナくん「どんんどん転がっていっちゃうね!」

おにいさん「間違いなく交通事故は急増するよ。 他には谷に落ちて転落死、海に落ちて溺死、この国の混乱はもう避けられないよ。」

ハテナくん「そんな、どうしよう・・・」

おにいさん「どうしようもないのが現実だよ。 今まで以上にサッカーに取り組む以外はね。」

ハテナくん「そして強くなって、優勝してワールドカップを貰うしかないんだね。 でもそうなればまた、他の国にボールが溢れかえるんだ・・・」

おにいさん「そう。 全てのボールがワールドカップに入れられるその日まで、際限なく続けられる死のダンスだ。 それがワールドカップの真実なんだよ。」

ハテナくん「世界中からサッカーがなくなる日は、まだまだ遠そうだね。」


おしまい