the shadow of silver
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1月31日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
先日、トランプ大統領が記者会見の場でCNNの記者に対して「君の質問には答えない。偽ニュースだ」と怒ったことがありました(会見当時は大統領就任前)。言うほうも言うほうですが、言われるほうも言われるほう。そういう歯切れの良さが今回の大統領の人気にも繋がっているように感じました。

「偽ニュース問題」というのは昨年の大統領選以降、アメリカを中心に大きな話題となりました。有象無象のニュースがインターネット上に飛び交う現代。あることないことを報じるデマや嘘のニュースが大統領選を左右しかねないと危険視されるようになりました。中でも一番のやり玉に挙げられたフェイスブックではニュースフィード上で偽情報排除の取り組み強化を発表。グーグルも偽ニュースを流す200近くのサイトを追放したと発表しました。

日本ではこのような問題はまだ放置されたままですが、昨年にはDeNAが運営していた医療・健康情報を扱うメディア「WELQ」が、薬事法違反や他のサイトからの無断転載が多く見られるとの指摘を受けて自主的に閉鎖しました。誰が書いたかも定かではないニュースや情報をまとめて公開するという手法は先のデマや偽ニュースの拡散にも繋がります(「WELQ」はライターも雇っていたようですが)。それが医療系の分野となるとさすがにシャレにならないとDeNAも判断したようです。

インターネットにより既存メディアの信頼性が疑われ、代わりに市井の素人記者がいち早く、より正確なニュースを伝える仕組みが生まれました。しかし素人ゆえに容易に偏重し、デマに踊らされ、あるいは背後の何者かと組んで、不確かなニュースを報じることも多くなりました。それをさらに既存のメディアが転載するという悪循環も起きています。一体私たちは何を信じればいいのか。世の中、半信半疑でいるのがちょうどいいかもしれません。

それにしても、IT革命の根本にして最大の成功者であるはずの情報メディアが、人々の情報離れを招く最大の敗北者にもなりかねない現状は実に興味深いところです。

[一日三報]
【時事通信】 ネット閲覧記録の開示要求も=入国審査強化へ検討か-米政府

今日のトランプさん。
変なサイトを見ているから入国拒否とはなかなか酷い。
結局、善良な市民に不快感を与えるだけで、本物のワルは巧妙にカモフラージュするだけとも思ったり。

[WIRED] 口が悪い人ほど、実は正直者:ケンブリッジ大の研究結果

妙に古臭い研究のような気もします。
まあ、口が悪い上に嘘つきだったら目も当てられないわけで。
当たり前といえば当たり前の話です。
それでも私は美しい嘘を求めます。

[GIGAZINE] 健康食品「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明

割と業界では大騒ぎになりそうな話。
だけど、そもそも私たちがウコンに求める薬効って、プラシーボ程度のものじゃないかしら。



1月24日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
私は小学2年生から眼鏡を掛けています。学生の頃は一時コンタクトレンズも使用しましたが、眼球への負担が大きく、結局オシャレに気を遣わなくなると眼鏡に戻り今もそのままです。振り返ってみると裸眼で物がよく見えたことはなく、物心がつく頃から常に世界をレンズ越しに見ているというのもなかなか興味深くあります。どこか馴染めないというか、客観視してしまう性格も、あるいはそんなレンズ越しの人生に起因しているのかもしれません。

眼鏡店「JINS」を運営するジェイアイエヌは先日、眼鏡型ウェアラブル端末「JINS MEME」を活用して、社員の集中力を可視化し労働性の向上をサポートする企業向けのサービスを発表しました。JINS MEMEにはスマートフォンアプリと連動した眼電位センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーが搭載されており、装着した人の視線移動やまばたきの回数、体軸の変化から集中力を計測することができる商品です。それらの状況を計測することにより、あるいは本人も気づかなかった仕事上の問題点を明確にして、社内やチームの仕事環境改善に役立てられるそうです。

「グーグルグラス」にせよ、弊著の「サイグラス」にせよ、眼鏡型端末の問題点は実生活における安全面や盗撮やハッキングによるプライバシーの侵害があります。一方で使用をビジネスの場に限定すれば、業務改善に向けて活用できる可能性もありそうです。これからはネクタイや名刺とともに、社員眼鏡がビジネスマンのツールになるのか。怪しげな眼鏡をかけた社員にはスパイの疑いがかけられそうです。

とはいえ、結局のところ業務改善の問題はツールではなく職場環境そのものによる部分も多いです。社員を適切に管理するための眼鏡が、サボりや怠慢を監視する「奴隷の首輪」にもなりかねないと感じています。

[一日三報]
【Gigazine】 1日10時間座っている&運動不足だと細胞が老化するという調査結果が明らかに

今さら言われても困るし、仕方ないからもういいや。
そのうち「1日生きていると寿命が1日縮むことが明らかに」とか言い出すかもしれない。

[ロイター] 路上販売の赤いトランプ帽は外国製、就任式参加者に衝撃広がる

風刺の一コマ漫画になりそうな話。
そっくりマスクも中国で作っていると紹介されていました。
そういう現実の中、いかにして米国人に米国人の仕事を取り戻させるか、手腕が問われます。
なんでもかんでも閉め出す訳じゃないと思いますが。

[AFP] 5300年前のミイラ「アイスマン」、最後の食事は「ベーコン」か

みんな大好きアイスマン。
うっかり氷の山で死んだせいで、未来人に見つかって、顔や体を複製されたあげく、最後に何を食ったのかまでバラされる羽目に。
そしてベーコン最強伝説へのさらなる証拠が。



1月17日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
人間の考えることはどこも同じものらしく、世界各地の神話や民話には共通のテーマや要素が多く見られます。ギルガメッシュ叙事詩のような英雄譚、ノアの箱船のような滅亡話、グリム童話、千夜一夜物語、日本の昔話。遠く離れた異国同士で不思議と似通って見えるのは、人類皆兄弟を証明しているのかもしれません。あるいは日本人は失われたユダヤ支族だったとか、源義経がジンギスカンになったとか言い出す人もいます。

そんな世界の物語の共通点に「見てはならない」という人気の設定があります。開けるなと言われた甕を開けてしまい世界に不幸が蔓延した「パンドラの箱」。振り返るなと言われたのに振り返ってしまい塩の柱と化した創世記のソドムとゴモラ。死んだ妻を生き返らそうと冥府から連れ出すも、途中でやはり振り返り引き戻されてしまったギリシャ神話のオルフェウス。日本の物語だとイザナギとイザナミの逸話にほぼ同じものがあります。あるいは昔話の「浦島太郎」も「鶴の恩返し」もそうでしょう。中国では「白蛇伝」が思い付きます。「見てはならない」「開けてはならない」「触れてはならない」は、人間の本能である好奇心を刺激する共通のテーマです。現代の小説においても大抵、主人公が何かを始めることからドラマになります。何もしない主人公には何の魅力も感じられません。

先頃のニュースによると、スマートフォンは「歩きスマホ」だけでなく、そばに置いてあるだけでも持ち主の注意力を低下させるということが実験により分かったと報じられていました。実験では被験者にあるテストを受けさせて、その際に近くに持ち主のスマホか、同じ大きさのメモ帳置くという比較を行いました。結果、スマホを置いた被験者の成績に若干の低下が見られ、スマホに注意が向いて成績が悪くなったという結論となりました。

きっと何かがあるに違いない、開けて見ずにはいられない。情報端末であるスマホは単なる板でありながら、絶えず中身が変わり続けているという人の好奇心を刺激する魅力が詰まっています。まさに現代における「パンドラの箱」。その魅力に抗うことは困難というものです。そういえばパンドラに箱を与えたゼウスも、浦島太郎に玉手箱を与えた乙姫も、なぜか悪者扱いされないのが不思議です。現代人にスマホを与えたスティーブ・ジョブズも神様になりました。

[一日三報]
【ITmedia】 「スター・ウォーズ」でキャリー・フィッシャーさんの“再生”はしない──Lucasfilmが異例の声明

俳優の肉体から人格までコピーして永遠に保存する「コングレス未来学会議」という映画がありましたが。
重要なのは製作会社も観客も「やろうと思えばできるだろうが」と考えているところかと。
そういう時代。

[AFP] 捕食行動の「殺しのスイッチ」、マウス実験で活性化 米研究

暴走マウス、あるいはバーサーカー兵士の誕生か。
それができるなら、抑制させる方法も解明できるだろうから、そちらに期待したいところ。
あと僕らはネズミさんの人類への貢献度をもっと敬うべき。

[CNN] ロボットの暴走防ぐ「停止スイッチ」、欧州議会が義務化提案

時空を超えてあなたは一体何度、我々の前に立ちはだかってくるというのだ!アイザック・アシモフ!!(棒読み)
ロボットが自分を守る行動で人間を襲うとか、人間を守るために世界を滅亡させるとか、そういう屁理屈はもうSFでやり尽くしている訳で。
法律を作っても形骸化するんじゃないかしら。



1月10日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
人間、先のことは何も分かりません。
前回のメルマガで正月は『私の予定では食い正月、食わされ正月になっています』と書きましたが、まさか数日で全く予想外の事態が発生してしまいました。

きっかけは、前回のメルマガ執筆後に行った新潟へのスノーボード旅行です。あいにく雪は少なめでゲレンデは満足のいくコンディションではありませんでしたが、それでも深夜の移動を含めて二泊四日の間、寒中で遊びに遊びまくって過ごしました。その後12月31日に帰宅すると疲労と筋肉痛に苦しみましたが、正月にのんびりと過ごして全快するつもりでした。

ところが31日の夜になっても一向に疲れが取れる気配はなく、やがて外気温とも異なる寒気に全身を襲われるようになりました。嫌な予感、それはやがて確信を持って肌身に感じることとなり、やおら体温計を脇に挟んで息を飲むと、答えは明確な数字とともに眼前に突きつけられました。38.1度。平熱の低い私にとってはあり得ない高熱が生じていました。

以来、正月三が日はまさしく寝正月。食い正月もままならぬまま床に伏せる羽目になりました。4日になってようやく病院へ行って検査を受けると、まさかのインフルエンザ。その後の予定も全てキャンセルになりました。

新年は知らぬ間に明け、祝いの言葉もお大事にという有様。人間、健康を損なうと俗世間を離れてシンプルな精神状況に陥ります。自分は何をしているのか、何をすべきなのか。あらためて頭を過ぎるのは、書きかけの作品のこと、書きたい作品のことばかり。なるほど、まだ死ねないなと思っているうちに何とか回復できました。太宰治「座興に非ず」のラスト一行、『私の自殺は、ひとつきのびた』。ある意味、これまでにないほど正しい正月を過ごせたような気もします。

やはり、何はともあれ健康です。皆さまも自身の体調を過信せず、どうぞご自愛ください。本当、いきなり来るよ。

[一日三報]
【AFP】 iPhone誕生から10年、スマホ革命続く

もう10年か、まだ10年か。
アメリカの変なおじさんが作ったデバイスが世界に衝撃を与えて、その余波に乗った者と乗り遅れた者との差を浮き彫りにさせました。
しかし、はたして、一体何が変わったというのだろうか。
ただ思うのは、この変なガラス面の端末を叩き続けることが、決して完成品ではないだろうということです。
もうちょっとスマートにいきたいよね。

[産経新聞] 「ピースサインは危険!!」 3メートル離れて撮影でも読み取り可能

これからは裏ピースか、「究極超人あ~る」の指曲げピースが流行るかも。
まあ取られて困るような個人情報でもないけど。

[WIRED] 宇宙人を本気で信じているアメリカ人たち

世の中には神や仏や悪魔や妖精を信じている人も多いわけで。
それを心の拠り所にして日々楽しく生きていけるならば、それもまた良いのではないかと。



1月5日(木)


[本日の独言(ひとこと)]
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

なお毎年恒例ですが、この文章を書いているのはまだ昨年の12月27日です。だからきっと、恐らく無事に新年を迎えているであろうつもりで書いています。新年二日を皆さまいかがお過ごしでしょうか。私の予定では食い正月、食わされ正月になっています。人類はスマホや宇宙の開発よりも、食いだめや寝だめのできる方法の開発に取り組んで欲しいと思います。

2017年は平成29年。十干十二支では丁酉(ひのと とり)にあたります。480年前の同じく丁酉に生まれた景轍玄蘇(けいてつげんそ)という僧侶は、対馬に寺院を建立した際、この丁と酉を合わせて「酊」とした以酊庵(いていあん)と名付けました(現在は廃寺)。現代では酔っぱらいの「酩酊」くらいしかこの字を見る機会はありません。丁酉の今年は浮かれ気分で、気持ちよく酩酊できる年であって欲しいものだ、みたいな話が新聞の社説や雑誌のコラムにも書かれることでしょう。筆がスベるとはまさにこのことです。

という具合で、今から年賀状の制作に入ります。
また来週。
[一日三報]
【CNN】 ロシア発の大規模詐欺、被害2百億円 ネット広告の閲覧偽装

こんなやり口で騙されるものなのかと思いますが、騙されるようです。
広告の閲覧ユーザーではなく、広告主に向けて詐欺を働くというのは珍しい。
騙し騙されの世の中、企業も油断はできません。

[AFP] 猿人ルーシー、木から転落死か 新たな骨格分析で示唆

猿人も木から落ちる。
僕らは木登りが下手になった時、進化が始まったのかも知れません。

[ねとらぼ] 謎の囲碁棋士「Master」の正体は「AlphaGo」 Googleが発表

少し前から話題になっていた出来事。
きっとそうだろうと思っていたら、やっぱりそうでした。
車と競争する奴はいない、ブルドーザーと相撲を取っても仕方ない。
コンピューターとゲームをしても勝てっこない時代になりつつありますが、こと頭脳勝負となると人類はやりきれない思いを抱くようです。