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[本日の独言(ひとこと)]
邯鄲(かんたん)の 鳴く音(ね)聞かむと 那須の野に 集ひし夜を なつかしみ思ふ
今年の1月13日に宮中にて催された「歌会始の儀」にて、天皇陛下が詠まれた歌です。和歌というのは古臭くて小難しいものと思われがちですが、近ごろはシンプルで直接的な歌も多く詠まれて、言葉選びの巧みさもよく伝わるようになっています。これは現代の広告におけるキャッチコピーやリードに通じるものであり、コピーライターは和歌に学ぶべきだと私は感じています。 さて冒頭の和歌にある邯鄲という言葉に興味を覚えました。邯鄲というのは古代からある中国の都市の名前で、現在は河北省の邯鄲市にあたります。しかし和歌で詠まれているのはその都市ではなく、バッタ目コオロギ科に分類される昆虫の名前です。緑色のスズムシのような形態で、「ルルルル……」と鳴く秋の虫のひとつです。つまり天皇陛下の歌はカンタンの鳴く秋の夜を懐かしんで詠まれたことが分かります。 ところで、昆虫のカンタンが中国の邯鄲に由来するのは見ての通りですが、実は邯鄲市にはカンタンは生息していないそうです。だから中国ではカンタンを「邯鄲」ではなく「天蛉」と別の名で呼んでいます。それではなぜ日本ではカンタンと呼ばれているのかというと、これは生息地にちなんだものではなく、唐代の故事「邯鄲の枕」から名付けられたからです。 むかしむかし、趙の時代、廬生という若者が邯鄲で呂翁という道士に出会います。廬生が人生に希望もなく、つまらない日々を愚痴っていると、道士は夢が叶うという枕を授けました。廬生がその枕を使って眠ると、途端に運が良くなり出世して、嫁をもらい、山あり谷ありの人生に栄枯盛衰を知り、やがて国王にも賢臣と称されて、ついには家族に囲まれて幸福の内に亡くなりました。しかし次に目が覚めると、あの道士から枕をもらった当日に戻っており、全てが夢であったと気付きました。廬生は自分の欲を払ってもらったと道士に感謝し、以後は慎ましくも幸せに暮らしましたとさ。 「邯鄲の枕」は日本人に好まれるストーリーらしく、能の演目や芥川龍之介などの小説、藤子不二雄Aの「笑ゥせぇるすまん」でも扱われています。ところで、物語にはカンタンはおろか昆虫は一匹も登場しませんでした。昆虫関連の書籍やサイトにもカンタンの名は「邯鄲の枕」に由来すると紹介されていますが、それだけでは何のことかさっぱり分からないでしょう。 実はこの意味、本場中国ではカンタンを「天蛉」と呼ばれていることにも由来しています。「天蛉」は「天界の虫」という意味であり、その鳴き音の美しさと寿命の儚さから名付けられました。つまり中国から伝わった「天蛉」という昆虫の名を知る日本人が、その儚い名前から同じく中国から伝わった「邯鄲の枕」の物語を思い浮かべて、いつの間にか「天蛉」自体を「邯鄲」と、「の枕」すらも省略して呼ぶようになったのが本当の由来です。 昆虫の話なのでつい長文になってしまいました。 言葉の由来を探ると思いがけない物語に辿り着くこともあるという話でした。 [一日三報]
【CNN】 「ヒトラー最大の破壊兵器」、指令用電話2700万円で落札
先日に紹介したニュースの続報。 モノの価値もさることながら、落札者がどんな人かも気になるところ。 はたしてどんな場所でどんな風に保存されるのか。 ヒトラーが見たら鼻で笑いそうですが。 [京都新聞] 球転がし、ハチも見まねで学習 小さな脳に高度な知恵
今日の昆虫。 本能ではなく学習で能力を身に付けるというから凄い。 一体、脳はどうなっているのか。 もしかすると私たちの脳って無駄に大きくないかしら。 [ロイター] 「クモ男」の異名持つ仏窃盗犯、絵画盗難で8年の禁錮刑
今日のスパィラメン。 フランスなのにルパンじゃないのは、あちらではヒーローだからか。 今は大体どこの国でも、窃盗で死刑や無期懲役になったりはしません。 1億400万ユーロ相当の品を盗んでも、8年の禁固と20万ユーロの罰金刑というから、実質クモ男の勝ちとも言えそうです。 だから誰も止めないんでしょうね。 [本日の独言(ひとこと)]
スマートフォンに保存されていた被害者の顔写真の「瞳」に、容疑者の姿や犯行現場が映っていたことが、徳島県警鑑識課の解析で分かったそうです。県警は昨年、とある事件の容疑者から押収したスマートフォンに被害者の顔写真があることを見つけて、その瞳に映り込んでいる物の特定に挑戦。元画像では判別できなかったが、画像処理ソフト補正するとスマホを構える容疑者の姿や撮影場所が確認でき、容疑の裏付けや撮影場所の特定に繋がりました。なお事件は捜査中の案件のため詳細は公表されていません。
何でもすぐに撮影する現代人の性質と、日々進歩を続ける写真補正技術がうまく噛み合った証拠発見とも言えそうです。たとえばプロのカメラマンは女優やアイドルなどを撮影する際、この瞳への映り込みを避けるために苦心しています。小さな記事なら気になりませんが、ポスターやデジタル画像での閲覧となると、腕の悪いカメラマンだと大きな瞳にしっかりと映り込みます。大抵はマネージャーや編集者がチェックするので世に出ることはありませんが、もし後日に発見さると撮り直しになります。なおカメラマンが映り込まないようにするには、瞳の真正面を避けて撮影するか、光源を当てて姿を見えなくして撮影しています。アイドルの瞳に、よく見ると不自然な光の輪が見えるのはそのためです。目もキラキラして見えます。 犯罪捜査に話を戻して。しかしこのような方法が報道されてしまうと、今後は加害者も行動も慎重になりそうです。事件を隠すために被害者の写真画像をスマホに残すことも避けるようになるでしょう。でも、たまたま撮影した共犯者の瞳に被害者の姿が映っており、さらにその瞳に撮影する加害者の姿が映っていたとか。『三すくみ』のような展開が起きるかもしれません。あるいはその時に観ていたテレビの画面が映り込んでいて犯行時間が特定できるとか、でもそれはデッキに録画されていた番組だから、やっぱり分からないとか。目は口ほどにものを言う。技術の進化でミステリの幅も広がりそうです。 [一日三報]
【Gigazine】 「人に取って代わるロボットに課税すべき」「技術革新に熱狂せずただ恐れるのは良くない」とビル・ゲイツが語る
今日のゲイツさん。 マイクロソフトを辞めてからはたまにしか見かけなくなりましたが、見る度にお爺ちゃんになってきた気がしています。 私は、そもそもロボットが人間の仕事を代わりにできるようになれば、そのお陰で人間は仕事をしなくても裕福に生きていけるんじゃないかと期待しているのですが、どうも世間はそう思っていないようです。 なぜだろう、じゃあ何のために作っているんだろう。 [読売新聞] ネット広告の閲覧水増し、年100億円超の被害
近ごろは広告の閲覧者ではなく、広告主を騙す手法が流行っています。 広告業って割とバクチもとい投機的で、でたとこ勝負の面もありますので、引っかかりやすいのだと思います。 あと個人的には、スマホの節操ない広告って文化の発展を妨げている気もしています。 色々と危なっかしくて、子どもやお年寄りには持たせられないよね。 [WIRED] セルフィーで「盛って」いた500年前の画家たち:研究結果
ものは言い様。 しかし、逆にセルフィーで盛るのって写真じゃなくて絵画だよねとも思ったり。 美化させたり、おちゃらけてみたり。 一方でピカソが描いたキュビズム全開の自画像は、盛ると見るかどうか。 [本日の独言(ひとこと)]
「黒電話」と呼ばれた回転盤付きの電話を見かけなくなって久しくなりました。私が子供のころは実家にもありましたが、それも程なくしてプッシュホン式の電話機へと変わりました。それからおよそ30年、携帯電話の普及により近ごろは家に固定電話を持つ家も減りつつあります。今時の子供は黒電話を見ても使い方が分からず、回転盤の数字を指で押そうする。そんな話すらも古くなってきました。
アメリカの競売商は今月、ナチス・ドイツのヒトラーがベルリンの司令部で使っていた電話機を今月の競売に出品すると発表しました。電話機の形はあの黒電話に似ていますが、赤くペイントされて鉤十字の紋章とヒトラーの銘が刻印されています。当時の英軍将校が戦利品として持ち帰ったものだとか。ヒトラーは戦中この電話機を使ってさまざまな命令を出しており、競売の目録には「世界中で数百万人を死に追いやった、恐らくこれまでで最も破壊的な兵器」と紹介されているそうです。 電話機の話題としては、先のニュースによると、今の大学生の4割以上がファックスの使い方を知らないというアンケート結果がありました。なるほど近ごろはファックスを使う若者も少ないだろうと思いましたが、よく考えれば私が学生のころからファックスなんて使ったことがありませんでした。人にもよりますが、子供が誰かにファックスを送るようなケースなど、それほどないように思います。むしろ6割もの人が使えるほうが驚きの結果です。 ちなみに私が始めてまともにファックスを使ったのは社会人になってから。とある指示書を蛍光ペンで書いて送信して、お前はアホかと叱られました。蛍光ペンの文字はファックスで送っても写らないので、相手先には真っ白な紙しか届かないのです。そんなの教えてもらってませーん。いつの世代もそんなもんです。 [一日三報]
【CNN】 愛犬の「無実」をDNA鑑定で証明、殺処分免れる 米
科学の進化で冤罪を免れるのは人ばかりではない。 犬の場合、飼い主が絶対に違うと分かっていても、認められるのはなかなか難しかったろうと思います。 しかし襲われた被害犬が冷凍保存されていたから調べられたものであり、それはそれで幸運も重なっていたようです。 [WIRED] グーグルの人工知能、今度は「モザイク画像の被写体を特定」する
モザイクを解析すると聞いてアダルティな想像をするのもオジサン世代なのかなと。 どこまで再現できるかがキモですが、古い映画や映像も綺麗に観られるようになるかもしれません。 [本日の独言(ひとこと)]
近ごろ折を見ては衛星放送で放映されている「鬼平犯科帳」を観ています。昨年最終回を迎えたシリーズではなく、1971年に放映された最初期のシリーズです。初代長谷川平蔵(鬼平)役は歌舞伎役者の八代目松本幸四郎。松たか子の父親の松本幸四郎のさらに父親です。なお昨年シリーズで最後の鬼平を勤めた二代目中村吉右衛門の父親にもあたります。さすが親子とあって両鬼平は驚くほどよく似ています。
鬼平犯科帳といえば火付盗賊改方の長官、長谷川平蔵が難事件を解いて悪をさばくという勧善懲悪ものの江戸時代劇です。原作はご存じ池波正太郎。鬼平とは鬼の平蔵。江戸を守る者として、悪人からも鬼のように恐れられているのが由来です。長谷川平蔵は実在の人物ですが、内容は多分に脚色されており、ちょっと古い刑事ドラマのような印象もあります。 興味深いのはこの鬼平の「鬼」の部分が、初期と後期にわたって徐々に変化しているところです。それが一番よく分かるのが拷問のシーンでした。初代鬼平は悪人の手下を捕らえると、容赦なく鞭打ちや水責めの拷問にかけて自白を強要します。暗い仕置場を響かす悲鳴、睨みつける長谷川平蔵はまさに鬼平と言わんばかりです。ところが後期の鬼平はそこまで残酷な行為には至りません。いや、裏ではこっそりと痛めつけているのかもしれませんが、そんなシーンは一切登場しなくなりました。悪にも悪の言い分があるというか、主人公が拷問するのは良くないと視聴者と制作側が考えてのことでしょう。 先日話題になったニュースとしては、中国のある商店でコメを盗み食いしたネズミの死骸を紐でつるして見せしめにした写真がネットで大バッシングを受けた出来事がありました。写真は中国のSNS「微博」に掲載されたもので「たとえネズミが害獣でも、命は尊重を」「もし自分がネズミだったら、残酷だと思わないのか」などと厳しく批難されました。ところが写真を掲載した男は、なぜこれほど騒がれているのか分からないと困惑したそうです。ネズミを見せしめにしたのは彼の友人だが、悪いネズミは駆除されるべきと訴えており、写真の掲載時も初めは「面白い」と評価されていたそうです。 この出来事などは、中国人の意識の変化を示す興味深い例に感じました。日本でもコメを盗み食いするネズミは駆除されても仕方ないと思う人が大半でしょうが、その死骸を晒し者にしてSNSに掲載すれば炎上すると思います。悪人を厳しくさばく鬼平は頼もしいが、悪人とはいえ拷問にかけるのはやり過ぎだと思うのと似ている気がしました。国が豊かになり人々に余裕が生まれると、他者を思いやる気持ちが生まれるのか、あるいは自分を守るためだけの表面的な正義感がはびこるのか。気になるところです。 ちなみに日本での拷問は1879年(明治12年)に近代化の波を受けて名目上では公式に廃止されました。それでも小林多喜二の事件や戦中にはたびたび行われていたことが確認されています。鬼平こと長谷川平蔵が実在した江戸時代では普通に行われており、それをよしとする社会でした。 [一日三報]
【CNN】 AI、ポーカーのプロ4人に完勝 2億円相当のチップ獲得
先日には将棋の対局でソフトの不正使用疑惑がありましたが。 うまくやればバレずに勝って大金をせしめる奴も出てくるかも。 馴染みがないので知りませんが、カジノのセキュリティってどうなっているのかなと気になりました。 [ダ・ヴィンチ] 「さいとう・たかを賞」創設に反響の声! 『ゴルゴ13』制作システムの文化継承を目指す
今では当たり前ともなっているアシスタント制も、かつては本人が書いていないと揶揄されていたとか。 さいとう・たかをも「ゴルゴの目しか描いていない」と言われていました。 その意趣返しか、時代の流れか。 文章書きの私としては、シナリオと作画の分業はごく普通にあっていいと思います。 [河北新報] <鬼伝説爪痕をたどる>迫力の形相 来歴は謎
今日のミイラ。 箱に鬼と書いて、割と小綺麗に収められています。 もちろん作り物ですが、わざわざ見に来る人も多いとか。 でも仏舎利とか聖骸とかもそんなもんじゃないかしら。 長く受け継いでいれば、きっと何かパワーが備わってくると思います。 |
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