the shadow of silver
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9月26日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
今夏は、夏だからという訳でもないが、自宅で懐かしいホラー映画を何本か鑑賞した。『エクソシスト』 『13日の金曜日』 『ポルターガイスト』など、誰もが知っている純然たるエンターテイメント・ホラー映画の王道を見直してみた。

見直したと言っても前に見たのがもう随分と昔のことなので、今回も懐かしさと新鮮さを味わって鑑賞することができた。改めて観ると自分の思い込みとの差が大きくて興味深い。『エクソシスト』といえば少女が首をクルクル回したり、ブリッジをして階段を駆け下りたりするシーンが有名だが、いずれもほんの数秒の短いカットでしかなく、むしろメインのストーリーはタイトル通りエクソシスト(祈祷師)側にあると気づいた。

また『13日の金曜日』といえばホッケーマスクのジェイソンが有名だが、あのマスクを被ったのは三作目以降で一作目はむしろホラーミステリ要素が強い作品だった。なおジェイソンといえばマスクと、なぜかチェーンソーのイメージがあるが、チェーンソーで襲って来るのは『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスであり、ジェイソンがチェーンソーを使って人を襲ったことは、私が知る限り一度もない。ジェイソンと言えばむしろ大振りのマチェット(ナタ)だろう。

先月の28日には先の『悪魔のいけにえ』や『ポルターガイスト』で知られるホラー映画の巨匠トビー・フーパー監督が死去した。『ポルターガイスト』はスティーヴン・スピルバーグがプロデュースした作品だが、同時期に制作していた『E.T.』との兼ね合いでトビー・フーパーが代わりに監督を引き受けた作品だそうだ。ドイツ語で『騒がしい霊』を意味するポルターガイストを世界的に広めた功績は大きい。他にも『深夜にテレビの砂嵐を見ていると霊の声が聞こえる』とか『体に紐を結わえてワープホールへ飛び込む』といった演出(スピルバーグっぽいが)もこの作品のお陰で有名になった。ホラー映画の監督は根暗で嗜虐的な人間ではなく、映画の視覚的な楽しさを追及する愉快なアイデアマンだと思っている。

いずれの映画も今観るとストーリーも演出も古くさい印象はあるが、その『使い古された感』を最初に出した作品と思うと、改めて影響力の強さが感じられるだろう。また『13日の金曜日』などは後期の作品によってイメージを固定化された今の心境で観ると、また違った面白さがあった。観たことのない方やよく覚えていない方は、ぜひ例のジェイソンを思い浮かべつつ、今か今かと期待して鑑賞すると楽しいだろう。

[一日三報]
[47news] 「世界を救った男」の寂しい死

何かと騒がしい昨今。
どこかのエライ人がミサイルを落とすと脅したり、どこかのエライ人がやれるもんならやってみろと言い返したり、どこかのエライ人が危ないから気をつけたいと思いますと感想を述べたりしています。
一触即発とも呼べる状況かもしれませんが、ぶっちゃけ彼らの直下で働いているマトモな人たちは堪ったもんじゃねぇなと同情します。

[らばQ] 米軍の最新鋭潜水艦「操縦しやすいのでゲーム機のコントローラーに変更」→コストは1000分の1以下に

このコントローラー、うちにもあります。
複雑な計器やハンドルを動かすよりは余程使いやすいものでしょう。
ついでに戦争もゲームの中だけで解決して欲しいものです。

[読売新聞] チョウの羽の模様変えた…米チームがゲノム編集

今日の昆虫。
この技術が進めば、やがてオリジナル蝶の品評会が開催されて、美しい模様は高値で取引されるようになる気がします。
あんまり無茶するなよ。



9月19日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
先日、友人が結婚式を挙げるというので、遠方に住む私は祝電を送ることにした。こういう機会でもないと祝電という物を使うこともない。今はインターネットで送れるので、サイトにアクセスして、様式を選んで、送り先を入力して、日時を指定して、文面を添えて、クレジットカード決済で手続きを行った。

祝電は電報なのでNTTでも取り扱っているが、今はそれだけではなく様々な企業が同様のサービスを行っている。さすがに電報事業だけでは経営も立ち行かないから、どこも別の事業のついでという形のようだ。趣向を凝らした商品と価格を打ち出している。実際、私も今回はNTT以外の会社で注文した。

そこで気づいたのが、『何だこの慣習?』という素朴な疑問だ。

祝電にせよ弔電にせよ、元は電報というサービスから始まったものだ。もう電報自体に馴染みのない世代も多いが、私もその一人だ。昔々、スマホはおろか家に電話すらない時代、電信電話網を用いてメッセージを送れるサービスとして電報がよく使われていた。利用者は近くの電話局か郵便局で頼信紙(らいしんし:現・電報発信紙)という用紙にメッセージを書いて、電報を依頼する。局はその文章を相手の住居近くにある電話局に送信し、受け取った局は文章を相手に直接運んでいた。

電報は藤子不二雄の「まんが道」でも出版社からの催促を伝える手段としてよく登場していた。また江戸川乱歩など昔の小説でも日常ツールのひとつとして度々使われていた。そのメリットは手紙よりも速い伝達にある。国内では離島や遠方地を除くと大体一日あれば届く連絡網が作られていた。また一文字いくらの価格設定なので文章は短いほうが安い。合格連絡の「サクラサク」や緊急連絡の「チチキトクスグカエレ」などはそのメリットを表現した例文だろう。

そして電報は、各家庭に電話が普及した昭和40年代ごろから徐々に利用者を減らし、メールやショートメッセージが使われるようになった現在はその必要性も全くなくなってしまった。今では先の祝電や弔電など慶弔時の慣習でしか電報という言葉すら聞くことはない。もしくは「笑っていいとも!」でタモリが「電報が届いてまーす」と言うくらいか。その番組も終わってしまった。

ということで、先のようにインターネットで手続きをして祝電を送る行為にモヤモヤとした気分を抱いた次第だ。メールやショートメッセージに比べると速報でも安価でもない。自分で手紙を書いて送っても同じことだろう。前時代的というか、まさに形骸化した慣習だろう。何かに似ていると思ったら、年賀状もそんな感じだ。どちらもそのうち廃れる儀式だと思っている。

[一日三報]
[ITmedia] 「女子中学生チケット詐欺事件」をシーケンス図化 「分かりやすい」GitHubで話題に

ニュースを見てもよく分からなかった事件の全容。
どうして誤認逮捕されたのか、何がずさんな捜査だったのかがよく分かりました。
ミステリ小説の作者も執筆前にはこんな図を書いて悩みます。
気になるのは、巧妙で手が込んでいる割には隠しきれておらず、何がやりたかったのか分からない所かと。

[Gigazine] 著作権が問われた「サルの自撮り」の法廷闘争がついに完全終結

気になっていた事件。
しかし、この事件の焦点は「動物に人間の法律が適用されるのか」ではなく、「著作権の非親告罪化」(第三者が当事者に代わって著作権を主張できる)にあると思います。
これがまかり通れば、著者とは無関係な人が、勝手に同人誌の作者を訴えて損害賠償を得ることもできるようになるよね。

[AFP] ロンドン下水管に「怪物級」の油脂の塊 重さ130トン、長さ250m

ゲームのダンジョンとか、地下道探検とかってワクワクするけど、きっとこんな感じなんでしょうね。
なにより、まず臭いだろうなと思います。



9月12日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
村上春樹の「スプートニクの恋人」は、表紙に旧ソビエト連邦が打ち上げた世界初の人工衛星スプートニク1号の絵が描かれていた。とはいえ小説の内容は宇宙SFでも冷戦問題でもい。スプートニクがロシア語で「旅の連れ」という意味から着想を得たようだ。

40年前に打ち上げられたアメリカNASAの宇宙探査機ボイジャー1号と2号は、ミッションを終えた現在も宇宙を航行している。火星より外にある太陽系惑星の状況を私たちに伝える役目を果たしたが、奇跡的に今も通信できる状況にあるそうだ。

1977年8月20日に打ち上げられたボイジャー2号は現在、太陽系を抜け出す辺りを航行。それより後の1977年9月5日に打ち上げられたボイジャー1号は既に太陽系を脱出し、現在は太陽から200億キロ以上の距離を時速4万8千キロで航行しているそうだ。ボイジャー1号は今のところ『人類が作った機械の中で、最も遠くに存在する物』となっているのだ。

また2機のボイジャー探査機には有名なゴールデンレコードが搭載されている。地球外の知的生命体に向けて、地球の生命や文化を伝える音や画像が収められた金属板だ。ボイジャー探査機が他の惑星に到達したり、知的生命体に遭遇する確立は極めて低いそうだが、それも宇宙のことなので何が起きるか分からない。またプロジェクトに関わったフランク・ドレイク氏は「長い目で見れば、これは我々が存在したことを示す、唯一の証拠となるかもしれない」と語っている。地球が爆発して人類が滅亡しても、このレコードだけは宇宙を漂い続けているかもしれないからだ。

私はボイジャー探査機が打ち上げられた1977年生まれだ。だから今年で40歳になるというショックはともかく、同じ歳の探査機が今も宇宙を航行しているのは、なかなか感慨深いものがある。生まれてすぐに打ち上げられていたら、今頃私は太陽系の外にいる。その距離は人生の長さと可能性を示しているようにも思えるのだ。できれば長く通信のできる航行を続けて欲しい。宇宙人が見つけてくれたらもっと嬉しい。

[一日三報]
[CNN] 映画の中の「宇宙人」 姿かたちの変遷をたどる

誰も見たことがないのに「これは宇宙人だ!」と分かるのは凄いこと。
悪魔や妖怪に続く想像の産物だと思います。
だからといって、タコじゃないと思うのですが。

[ITmedia] 「ポケモンGO」は働く人のメンタルヘルスに好影響――東大調査

大して欲しくもないポケモンのためにボール3個も使った挙げ句、逃げられたイライラするよね。
それはともかく、この調査はポケモンに限らず、継続した遊びの全てに言えることかと。
趣味は大切ってことです。

[AFP] 人の寿命に「上限」あり、オランダ研究チーム

だいたいそんな気はしていたけれど、言い切ってしまってもいいものなのか。
そしてまだあと70年もあるのかと思うと、人生の後半ってだいぶ無個性だなと思う次第です。



9月5日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
鳥取市内の民家で、江戸時代後期に参勤交代で江戸に詰めていた藩士が、故郷の妻に宛てた手紙が大量に発見されたとニュースがあった。個人が所有していた屏風の下張りにされていたらしい。紙が貴重だった昔はよくこんな風に使い回されていたのだろう。とはいえ、誰かが書いた手紙を使うのはちょっと恐い気もするが。

手紙の差出人は鳥取藩士の城戸左久馬(~1853年)という人物らしい。8代藩主・池田斉稷(なりとし)の参勤交代に付いて江戸に滞在した際、妻のお力に宛てて書かれたものだそうだ。その数が返信も含めて約180通にも上るというから、情が厚いのか筆まめなのか、よほど退屈だったのだろう。

手紙の内容も実に面白く、公務が厳しいことや歓待を受けたことなど自分の話から、息子のおねしょを心配したり字の上手さを褒めたりもしている。そして「来年も帰れなかったら、もう役職を辞めようと思う。でもここまで務めたしなあ」と愚痴をこぼす内容もあったそうだ。

「封建社会の完成形は、少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」は漫画「シグルイ」の言葉だが、武家社会に生きる人は本当に大変だったと思う。参勤交代という朝貢を進化させたようなシステムもよく思いついたものだと感心するほどだ。手紙の内容から昔も今も変わらない、庶民の苦労を楽しみが窺えそうだが、多分、今とは相当に違う常識と割り切りもあったように思う。なにせチョンマゲを結って腰に二本差しをしていた時代だ。今と同じはずがない。今回の発見からその辺りの心理も読み取れればいいと期待している。

ちなみに上記の城戸左久馬が死去した1853年は、ペリーが黒船に乗って浦賀に来航した年でもある。「泰平の眠りを覚ます上喜撰、たった四杯で夜も眠れず」という歌もあるが、多分ペリーも日本人の異様な風体を見て、かなりビックリしたと思う。

[一日三報]
[AFP] 英作家の未発表原稿入りHD、生前の希望に従いローラーで破壊

この作者についてはよく知りませんが、友人がとても信頼できる人だというのはよく分かりました。
昔の作家や偉人の中には、たまに発見された未発表作品や手紙が出版されることもありますが、たとえ遺族の許可があったとしても酷いことをするなと感じています。
それはそうと、これはビジネスになるかもね。
生前遺物破壊業みたいな。

[WIRED] 一晩で売り切れなかった本は全て焼き捨ててしまう、「最も美しい」出版レーベル

何かしらの政治的なメッセージではなく、芸術活動のひとついうのが良い。
飽和社会に生きる人が、中身よりも「貴重」という価値観を重視するのは、フォトジェニックなスイーツに行列を作るところを見ても分かります。
でも私はひたすら長く売り続けて欲しい派です。

[MdN] iPhoneにLightning接続してどこでも髭が剃れる「ポケット髭剃り」発売

今日の欲しいけどいらない物。
これは便利というよりは、人前でウケ狙いのためにやるのがいいかも。