the shadow of silver
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6月25日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
アメリカのヒーロー映画などを観ていると、最近の映像技術の進化に驚かされる。まるで現実と見紛うばかりの市街地を舞台に、おかしな力を持った強力なヒーローたちが縦横無尽に戦っているからだ。当然あれは合成映像であり、ロバート・ダウニーJrもヒュー・ジャックマンも実際に地球を救っている訳ではない。それを知っていながらも、好みはあれども大人でも夢中になれる映画に仕上げているのは映像技術の勝利と言わざるを得ないだろう。

特撮かVFXかコンピューターグラフィックスか、その辺の定義は曖昧になりつつあるが、映画に使われているこれらの合成技術は、天才的なクリエイターが最新鋭のコンピューターを使って、多額の費用を投じて完成させている。一方で山頂の清流が下るように、次第にエンドユーザー、一般消費者の間でも安価で使いやすい合成ソフトが作られて普及しつつあるようだ。しかし清流はやがて大きな濁流に呑まれていくのか、優れた合成技術でよろしくない使い方をする人も増え始めているらしい。そのひとつとしてインターネットでは徐々にフェイク動画が流行りつつあるようだ。

フェイク動画というのは、簡単に言うとトランプ大統領の顔画像を流用してキレキレのダンスを踊らせるような動画のことだ。それだけならジョークとして受け入れられるかもしれないが、やり方によっては中指を立てて差別的発言を繰り返す人物に仕立て上げることもできるだろう。映画「フォレスト・ガンプ」の名シーンのように、ケネディ大統領と握手させることもできる。ロウハニ大統領とボクシングをさせることもできるだろう。

もちろんフェイク動画は政治家に限らない。学者や芸能人の発言を勝手に入れ替えたり、架空の事件や事故を装うこともできる。より具体的な例を出すと、女優や女性タレントをポルノ女優と合成させるという遊びが海外や日本でも流行りつつあるようだ。かつて「アイコラ」といって雑誌の顔写真と体の写真をすげ替える遊びがあったが、それも今では動画で、しかもあまり違和感なく作り出すことができる。それをインターネットに流して皆で共有されているようだ。

文章に真実も虚構もあることは誰もが知っている。写真にも合成や加工があることもみんな知っている。それに加えて、これからは動画にも虚実があることを疑わなければならないようだ。一体僕らは何を信用すればいいのか。たぶん半信半疑で思慮深く生きるべきなのかなと思う。脊髄反射でリツイートしないほうがいいよ、とも。

[一日三報]
[Gigazine] 1枚の写真と音声データから「人が話す映像」を作れる驚異の技術が登場

と言うわけで、そろそろフェイク動画は一枚の写真からでも作り出せるようになりそう。
でもフェイクは良くないけど、使い方によっては低予算で高品質な動画を作ることもできるかも。
そこまで行けば、もはや人の写真すらいらないか。

[AFP] パキスタンの州閣僚にネコ耳が…! 記者会見のライブ配信でハプニング

逆にこれをオリジナルにしたほうが親しみがもてるかも。
政治はスーツを着たおじさんが渋面でグダグダやる姿も良くないと思ったり。

[日経新聞] アディダス「3本線」の商標権制限 EU裁判所が判断

これがダメで例の「はらい」マークが許されるのが分からなかったり。
でもこれでオリジナリティを出そうというのも無理があるというか、やっぱり例のマークの二番煎じというか。
別にアディダスは例の葉っぱマークでいいんじゃないかしら。
フェイクの「アジデス」が有名になりすぎて嫌になったのかな。


6月18日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
ロシア連邦を構成する国のひとつに、サハ共和国がある。ロシアの中でも日本寄りで、北は北極海にまで面した広大な地域だ。永久凍土の国とも呼ばれており、北東のオイミャコンでは氷点下71.2度の世界最低気温を記録したこともある。世界でも最も寒い地域としても有名だろう。

そのサハ共和国では先日、永久凍土から約4万年前のオオカミの頭部が発見された。頭部は切断されていたが、歯や毛皮も完全な状態で残っていたそうだ。この地域では以前にも絶滅種のホラアナライオンの赤子が発見されたという。血も細胞も凍り付く寒さと乾燥した気候と、人間も動物も近づけなかったことで、こういった遺物が良質な状態で見つかることも多いそうだ。

しかし一方では発掘を喜べない現状も起きている。このような発見が多いのは、地球の温暖化により気温が上がったために、永久凍土が溶けて閉じ込められていた遺物が見つけやすくなったことも理由にあるからだ。当然、その影響は現在棲息している動植物にも及ぶことだろう。

さらに一方では、温暖化のお陰で同地域ではちょっとしたゴールド・ラッシュが起きているらしい。ただし見つけるのは金ではなくマンモス、さらに言うと牙だ。国際条約により象牙の取引が厳しくなった代わりに、発掘されたマンモスの牙を代用しようというブローカーが急増しているとか。世界には未だに象牙を珍重する人々がおり、またそんな人々の住む国が急激に経済成長したことで、需要が高まり高額で売買されるようになったそうだ。

地球温暖化というのは気温の変化や海面の上昇以外にも、色んな分野に影響を及ぼしていると感じた。誰もが危機感を抱いていながら、容易に解決できないのはこういう状況もあるのかもしれない。恐らくオオカミの発見やマンモス牙の取引など問題にもならないくらい、巨大な駆け引きが。

[一日三報]
[ロイター] ヒトのプラスチック摂取、毎週クレジットカード1枚分=調査

昨今やけに大盛り上がりのプラスチック排除運動。
環境問題もブームに乗れるかどうかなのかもしれない。
そしてブームになるかどうかは、損をする人が少ないからという理由だけのような気もしている。
僕らは毎日クレジットカードを食べて生きている。

[CNN] 米国務省、ビザ申請者にSNS情報の提出義務付ける措置を開始

どうも彼の国は「秘密にしておくことの安全性」よりも「オープンにしておくことの公平性」が強いような気もしたり。
宝くじの当選者を発表するのも同じかなと。
だったらSNSなんてやらなきゃいいと思いますが、今度は「今時SNSをやっていないなんてマトモじゃない」とか疑われたりして。

[神戸新聞] HB→2B「鉛筆」の主役交代 児童の好み変化、大人の鉛筆離れで

子供と言うよりも、大人の鉛筆ばなれの方が大きいかなと。
お役所と会社の経理が使わないようになった訳だから。
2Bなんて使ったら、手のヘリが黒くなるじゃん。
手のヘリが。


6月11日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の科学者らによると、脳の活動を調べて合成音声を作り出すことにより、声を発しなくても会話のできる技術の研究が進められているらしい。これができると脳卒中などにより言語障害を患った人も口を使わずに会話ができるようになるということだ。

頭に浮かぶ言葉をどうやって抜き出すのかというと、脳に電極を差し込んで言語中枢から唇、あご、舌、喉頭の動きを読み取り、コンピューターで再現して音声に変換するらしい。抽象的な言葉を読み取るのではなく、各部位の運動を読み取って言葉にするというのが、分かりやすくて興味深い。方法から見てそれまで健常者として会話ができていたという前提が必要になりそうだが、事故や病気で喋れなくなった人たちへの希望になりそうだ。

人の心が読める読心術(テレパシー)については弊著『読んではいけない殺人事件』で取り扱ったが、こういうのもいつか、誰もが扱える時代がやってくるのかもしれない。脳の活動を測って喋ることができるならば、そのまま脳に戻して聞くこともできるようになるだろう。頭に無線のアンテナを立てて5Gかなにかでデータを飛ばせば、口を開くことなくテレパシーで会話が行えそうだ。いきなりそんなことにはならないだろうが、そんな研究が始まっても不思議じゃないと思えるところが、ちょっと怖くて楽しい。

未来は誰も喋らずに会話をする社会になるかもしれない。でもそうなると、どっかの大企業が色んな脳内サービスを始めたり、無料と称してばんばん脳内広告を送り込んできたり、その代わりに脳内の個人情報を不正に盗み取ったりしそうだから、やっぱりそんな世の中は来ないかも。言語障害者の支援に繋がるところまではどんどん研究を推し進めてほしいと思う。


[一日三報]
[WIRED] 中国共産党の国民用アプリ、使ってポイントが貯まる仕組みの「真の狙い」

にわかに語られるようになってきた、国民信用スコア制度。
さすが中国、えげつないとも思うが、実はこっそりやっている他国よりもオープンで親切かもと思ったり。
まあ、かつてのテロ事件からの動勢よろしく、いずれは国民の安全保護を理由にどこの国もやり始めるんじゃないかなと。
そうなると今度は、国民信用スコアを活用しない、この国のセキュリティはザルだとか言われたりして。

[GameWatch] Xboxブランドの男性用ボディケア製品「Xbox Lynx」が発表

そういえばなかったなと思えたアプローチ。
ゲームオタクはダサくて臭い、という偏見によるイメージを払拭するためにも、ゲーム会社が仕掛けるのもアリなわけで。
プロゲーマーをアスリートととらえるなら、やっぱり爽やかで格好良くないと。
eスポーツの発展にも繋がる話ではないかと。

[CNN] 「アレクサ、私が言ったことを消して」 音声記録の削除可能に

[読売新聞] 児童ら手投げ弾発見、投げて遊んで友人宅へ持参


[宮崎日日新聞] 消火器使い方学ぶ、避難経路も確認 えびの住民ら

今日の見出し。
記事の内容はともかく、見出しが興味深い三記事。
野球の記事で頑なに『アイドルの○○がノーバン始球式』という見出しが付けられるのは、それだけでアクセス数が劇的に変わるからという話もあるわけで。
秀逸な見出しは丁寧な記事よりも受けがいい昨今です。


6月4日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
先日から見かけるようになった「あやふや文庫」というツイッターアカウントがなかなか面白い。誰もがひとつかふたつは記憶に留めている、うろ覚えの本や漫画のタイトルと著者名を、覚えている限りの情報から推測して見つけ出そうという活動のようだ。サイトではなくツイッターをプラットフォームにしており、リツイートではなくダイレクトメールを開示することでやり取りしているのも、目新しくてよく整えられている。依頼が殺到しているらしく対応は大変そうだが、長く続けてほしいと思う。

それにしても世の人というのは本当に親切な人が多いらしく、ネットで質問すると大抵誰かが反応して答えをくれたりする。特にこういった書籍や音楽やゲームといった分野では皆こぞって、もちろん無償で教えてくれるものらしい。私はあまり知らないが、自動車とか鉄道とかスポーツ分野でもそうらしい。その辺で見つけた昆虫の写真をアップして尋ねると、どこからともなくファーブル先生が集まってきて同定(名前や種類を当てる)してくれる人も多い。世の中には本当に詳しくて賢くて親切な人が多いと実感できる。インターネットで人の温かみに触れる瞬間だ。

一方で政治や経済や歴史や宗教においては、あやふやな知識を披露したり、明らかに誤っていることでも決めつけにかかってくる人も少なくはない。そもそも正しい答えが存在しない物事が多いはずだが、まるで排気音から車種を特定するような具合に、こうである、そうではないと一足飛びに答えに結びつけようとする傾向があるようだ。それがまたいざこざの元になって、水掛け論から誹謗中傷に陥り、誰かが謝罪に追い込まれたりもしている。こういう時は逆に人の冷たさが感じられる気がする。

インターネットが普及して明るみになったのは、何か発言したい人がこれほどまでいたのかという事実ではないかと思う。そして意外にも、議論にはあまり向いていない場であることも分かってきた。人間にこれほどの『教えたがり』という社会的欲求があるらしい。それがうまく働けば奉仕の精神が高まり知識の共有化が進み、いびつに歪められれば差別とナショナリズムの台頭に繋がるのかもしれない。そんな風に思えてきた。

[一日三報]
[GIZMODO]わたしのiPhoneやiPadがパワーアップしていく... WWDC発表ギュッとまとめ!

今回のアップル発表会のまとめ。
まあ、もはや目新しさはあまりなく、セレブレティなコンピューターブランドになった感が強いかと。
でもコンピューターやデバイスのブランドにセレブレティ感を与えたのもこのメーカーの功績ではないかと。
新しいMac Proには早速、チーズゲーター(チーズおろし金)の愛称がついているとか。
ポリバケツからゴミ箱を経て、おろし金へ。
その間に何かあったな。G4 Cube だっけ。
iTunesには本当にお世話になりました。

[Gigazine]結核という病気が1つの時代の「美」と「ファッション」を作り上げた

いわゆる「薄幸の美少女」
あの落ち葉が散る頃には私も……
しかし動物の本能的には、丸々と太ってギラギラとしたほうが健康そうで魅力的に思うはずなのに、どうして女も男も儚げなほうが美しく見えるのだろう。
花を愛でる感覚に近いからか、庇護欲が刺激されるのだろうか。

[ITmedia]今夏の流行は「五輪のかぶる傘」より「日傘男子」!? トレンド生む真の条件とは

毎年、流行らそうとして流行りきれない「日傘男子」と「ふんどし女子」。
そろそろ失敗を認めだしているようです。
でも失敗の理由を「男子がさすのは恥ずかしいから」だと、まだ思っているから分かっていない。
答えを言うと、「日傘男子」って呼ばせている限りは流行らないかと。
もうその時点で、女子目線でからかっているんだからダメでしょうに。
「ふんどし女子」は知らん。