the shadow of silver
SOS日記本メルマガ掲示板プロフィール

archive


12月31日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
いつの間にやら年末になったと、去年も一昨年も感じていたような気がする。歳を取ると時間が経つのが早く感じられる。それは毎日毎時が忙しく活動しているせいかもしれない。しかし物事に集中すると時間が何倍にも長く感じられて、ボールが止まって見えたり、パンチがスローに見えたり、一試合を終えるのに何年も連載しているという話もある。一体どちらが正しいのだろう。集中しつつも無駄に時間を捨てているということもあるのかもしれない。

小説もぼちぼちと書き続けているが、なかなか表には出せていない。近頃は一作品の分量を見誤って、長く書き過ぎてしまう問題が発生しているようだ。小説というのは実は一作、一冊に適した分量というのもあって、長くなると出版社にも読者にも受け入れてもらえないことも多い。適切な分量がどれくらいかは本屋さんへ行って並んでいる文庫本の幅を測ってみれば分かる。どれも大体同じなのは、それが求められている平均的な分量だからだ。それ以上長くなると嵩張って価格が上がるので読者も買いたがらなくなる。ちなみにこの分量は年々減少傾向にあると感じている。そのうちスティーブン・キングの『グリーンマイル』のように、薄い一冊が連続的に刊行されていくようになるのかもしれない。

長い説明を一言でまとめるのが演説のプロだ。複雑なモチーフを単純に表すのが芸術のプロだ。プロはギター一本で人を泣かせる。達人は刀を抜かずに相手を負かす。棋士が一手を打つと相手は参りましたと頭を下げた。なあに僕は一目で犯人が分かったさ。シンプルこそがプロのプロたる所以とされることも多いが、果たして小説もそうなのだろうか。それはともかく、来年はもう少し頑張りを見せていければいいと思っています。

本年もお付き合いいただきありがとうございました。
来年も何卒よろしくお願いいたします。


12月24日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
美術館へ行くと名画には厳重なセキュリティが施されている。ガラスの付いた額縁に入れられ、壁に貼り付くように架けられている。より価値のあるものは近づけないように杭とロープが渡されて、さらに直立不動の警備員まで目を光らせている。やり過ぎると無粋に見えるが、盗まれては大変だ。逆にその光景が名画の価値を高めているようにも素人目には見えてしまうものだ。

美術品の窃盗は泥棒の中でも古典的で華やかというか、ニュース映えのする印象を受けるが、果たして泥棒は盗んだ名画をどう扱うのだろうかと疑問に思うこともある。アルセーヌ・ルパンや怪人21面相のように個人で鑑賞するのだよというのもロマンだが、今日びの泥棒にそんな高尚な趣味があるとも思えず、やはり売りさばいて大金を得るのが目的だろう。しかし盗んだ名画を巷の画廊が買ってくれるとも思えず、そこには闇ルートの存在が窺える。そうなると泥棒にはあらかじめ闇ルートとの接点が必要となり、ただ品物を盗むよりも面倒そうに思えるのだ。

先日、イタリア北部ピアチェンツァの美術館にて、隠し扉の中から23年前に消えたクリムトの名画「婦人の肖像」が発見された報じられた。清掃員が美術館の外壁を覆っていたツタを切り払っていると、その奥からさび付いた小さな扉を見つけたという。そして扉を開けて中を覗いてみると、ゴミ袋に包まれた名画を発見したという、冗談のような出来事だったようだ。

名画は23年前に行われた美術館の改修中に姿を消したという。当時は額縁だけが天窓の近くで見つかったため、何者かが館内に侵入して持ち去ったものと見られていた。しかし実際は外へと持ち出されておらず、いつの間にか存在していた隠し扉の奥に隠されたままだった。盗まれたと思ったら盗まれていなかった。外に逃げたと思ったら中に留まっていた。というのも古典ミステリのトリックのようで面白い。

それにしても、23年前に名画を盗んでここに隠した犯人は誰だったのか。そして意図はなんだったのだろう。後日あらためて回収にあたる予定だったと思うが、なぜそれができなかったのだろう。タイミングが悪かったのか、売り先と折り合いが付かなかったのか、急死してしまったのか。全容が明らかになる可能性は低そうだが、ミステリ好きとしてはロマンある理由が隠されていてほしいなと思う。病床の妻が最期に見たかった絵だったとか、実は名画のモチーフとなった女性と縁のある人物だったとか。

[一日三報]
[らばQ] 美術館に通う人は早死にリスクが31%低いことが判明…イギリスの研究

芸術嗜好とか経済力とか文化意識の高さとか、色々と要因は考えられそうですが、確かにそんな印象はある。
「週末には近所の美術館へ足を運ぶような男」ってだけで知的で穏やかで物静かなキャラクターがイメージできるというものです。
まあ大体そういう人は殺人鬼なんだけど。

[ロイター] チェコで伝統のクリスマス行事、悪い子にお仕置き

東北で見た。
まさか大昔にチェコと秋田で文化交流があったとも思えず、こういう文化やイメージって人間が本能的に生み出すものなのかしら。

[CNN] 「サンゴ礁の音」で魚集める、再生に期待 豪グレートバリアリーフ

海にとって大事なのは分かるけど、冷静に見たら姿形も生態も結構グロいことでお馴染みのサンゴさん。
音で蘇るのかと思ったら、魚を集めて環境を改善させようという取り組みのようです。
でももっと効率良く増やせる方法はないのかな。


12月17日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
アメリカのB級映画に『シャークネード』という作品がある。サメ(シャーク)とトルネードを合わせた合成語で、大量のサメを巻き込んでやって来たトルネードに人々が襲われたり戦ったりするストーリーだ。サメとトルネードという『アメリカ人の二大怖い物』を合わせたらもっと怖いだろうという、アホみたいなコンセプトがはっきり分かって面白い。ちなみに全六作も作られたヒット作なのだ。

日本に住んでいるとそこまでは感じていなかったが、欧米諸国では今年は『気候変動』がトレンドの一年だったらしい。英国の『オックスフォード英語辞典』を出版するオックスフォード大学出版局は、2019年を象徴する「今年の言葉」に、"Climate emergency"(気候非常事態)を選定。英語辞書サイトのディクショナリー・ドットコムは、実存や存在を表現する形容詞"existential"を選定した。これは学者が気候変動などを警告する際に、"existential threat"((われわれ人類の)存在に関わる脅威)という言葉でよく使用されているからだ。

またイギリスのロックバンド『コールドプレイ』は地球環境に配慮して、対策ができるまでライブツアーを中止にすると発表。米タイム誌は年末恒例の『今年の人』にスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんを選んだと発表した。そんな感じに今年は気候変動による異常事態が流行っていたようだ。

一人の人間は無数の細胞の集合体だが、実は地球に存在する人間全ても、多くの人間によって構成される一個の人間であるかもしれない。だから気候変動も以前より警告されていたにもかかわらず無視を続けて、尻に火が着き出してからようやく大変だ大変だと騒ぎ出しているような気がした。一方でようやくビジネスチャンス、儲かる仕組みができたから宣伝活動に勤しんでいる側面もあるだろう。先の文に流行と書いたのも、良かれ悪しかれそんな臭いが強く感じられてならないからだ。でもそれで気候変動の悪化が食い止められるなら波に乗るのもいいだろう。だがストローやレジ袋を廃止にするのは大して意味がないと私は思っている。

ビジネスチャンスというと、この流れによって映画も小説もゲームも来年辺りから気候変動ものが増えてくるように感じている。これまでの隕石や大地震や火山噴火よりも、さらに深刻で起こりうる可能性が示唆される科学風の味付けがされた作品になるだろう。そう考えると『シャークネード』はまさに先見の明を持った作品だったような気もする。あれこそ気候変動によってもたらされた新たな脅威なのだから。でも竜巻から振ってきたサメがその勢いで人間に食らいつくことはないと思う。サメもかなり目が回っているだろう。

[一日三報]
[AFP] 暑い! 速い! 高い! 2019年の新記録を振り返る

[CNN] グーグルの検索ランキング、米総合トップ10は

[Gigazine] YouTubeの2019年人気動画カテゴリ別まとめ「YouTube Rewind 2019」公開

[共同通信] 検索上昇1位は「台風19号」グーグルのランキング

[AFP] 今年の10大流行語 「お前の感覚は要らない、重要なのは私の感覚」など 中国

年末恒例、今年の十大ニュース。
もはや話題にもならなくなった、どこぞの流行語大賞よりはよほど興味深い。
特に中国の流行語は今時で面白い。
YouTubeの流行は一作も知らず、視聴する気も起きなかったり。
なんか違うんだよなぁ。

[Gigazine] たった1枚のキャラ画像とウェブカメラで誰でもVTuberになれるシステムをGoogleのエンジニアが発表

いよいよ、えらいことになってきたなと。
もうちょっと進化すれば、自宅で一人で長編アニメ映画も作れそう。
中身がオッサンでもいいというか、もはや己の肉体のみが邪魔な時代がやって来るかも。

[WIRED] 過度なゲームプレイは問題行動の「原因」ではない。心理的問題の「兆候」だった:研究結果

博士というのは、当たり前のことを調査して論文にしたためて発表するのがお仕事です。
ゲームに熱中するのは悪い人ではなく、悪い人だからゲームに熱中してしまうのです。
さらに日本では未だにゲームを「子供のオモチャ」と思っている人も多いので、「幼児傾向」などとおかしな推測も立てられてしまうのです。
ホラー小説を書くなら、ゲームやアニメ好きの独身中年男性よりも、隣に住んでいるスーツ姿のにっこりパパさんの方が、殺人鬼として真に迫って怖いです。


12月10日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
当メールマガジンの配信にも利用している「melma!」が一月末をもってサービスを終了するらしい。理由は明らかにされていないが、恐らくメルマガというサービス自体の衰退により、事業を継続できるだけの広告料が得られなくなったからだろう。当メルマガの配信に「melma!」を利用されている方は「まぐまぐ」か「アルファポリス」のメルマガサービスへの切り替えをお願いしたい。と思って確認したら「めろんぱん」のアドレスも記載したままだったことに気づいた。「めろんぱん」はもうずっと前になくなっている。

まあ、はっきり言うとメルマガも随分前から廃れたサービスだと思っている。今時PCメールで情報を配信するような時代でもなく、スマホもLINEなどのメッセンジャーアプリに取って代わられて、仕事以外でメールを使う人も減っているだろう。私がこうして続けているのも、ほとんど惰性と生存報告と暇潰しに他ならず、ここから何かしらのアクションを起こそうという気もあまりなくなっている。ただ書くのが好きだから書き続けているだけと言っても過言ではないだろう。

メルマガの隆盛と衰退の流れは、そのままインターネットの歴史的な推移にリンクしている。インターネット・ホームページというものは出始めた頃はいわゆる「プル型」の情報サービスで、ユーザーはそれぞれのホームページにアクセスして更新情報を収集するのが常であった。そこでオーナー側はメールマガジンという「プッシュ型」の告知手段を用いてユーザーにいち早く更新情報を伝えていた。つまりメルマガは自身のホームページに呼び込むために役立っていたのだ。

その状況に変化を起こしたのが「ブログ」とそれに付随する「RSS」の登場だ。「Web2.0」とかいう謎のキーワードは流行らそうとして失敗したが、ブログによって誰でも簡単にホームページを立ち上げて、RSSでプッシュ型の通知も行えるようになった(はてなアンテナなど)。この時メルマガの役割も大部分が失われてしまったが、一方で「ブログよりもユーザーに直接届けられる」「有料配信で儲けられる」「炎上しない」というメリットにより、まだ利用価値は残されていた。

そして現代、スマートフォンとSNSの普及と発展によりブログすらも追いやられる時代となり、メルマガを利用する意味もさらに失われてしまった。SNSを使えばメルマガよりも手軽に素早くユーザーの手元に情報を届けられるようになり、広告媒体の発展により儲けられる仕組みが確立し、炎上すらも宣伝上等とされる社会になった。もはやメルマガ配信には何のメリットも見出せず、恐らく数年後には何の意味があったの? と言われるようになるだろう。

以上、かなり駆け足でメルマガとインターネットの歴史を語ってみた。興味深いのは「メールマガジン」と呼ばれるだけあって、今の週刊誌や新聞と同じ流れを辿っていることだ。社会的必要性と市場規模が全く違うので両者は生き残っているが、媒体としての価値はずっと前から頭打ちになっていると思う。特に週刊誌、さらには社会面や芸能面がメインの雑誌はもうボロボロだ。もはやお金を出して一週間前のネタを読み込む人など少ないということだ。しかし、そこまでスピーディに情報を収集したところで、果たして私たちは何か得をしているのだろうか。なんというか、みんな無駄な情報中毒にかかっている気もする。

まあ、それはともかくとして。当メールマガジンはそれでもまだまだ配信を続けていこうと思う。メルマガの存在が本当になくなるその日まで。よろしくお願いいたします。

[一日三報]
[CNN] 動植物の新種、今年は71種発見 米研究機関が発表

こうして毎年多くの新種が発見される一方で、全く人間に知られないままに絶滅した動植物もたくさんあるんだろうなと思う。

[ロイター] 感情を察知するAIロボットが宇宙に、飛行士間の対立緩和に一役

藤子・F・不二雄の傑作SF短編「イヤなイヤなイヤな奴」みたいな話。
地球でも宇宙でも複数人で生活していると必ず対人トラブルは起こるもので。
「憎まれ屋」のような職業も本当に生まれるかもしれません。

[AFP] 「ゾンビの科学」 動物や人間を操る寄生生物の研究

今日の『バジリスク』。
寄生虫はともかくとして、近頃は腸内細菌が人の性格を左右しているという研究もあるわけで。
僕らは自分が思う以上に操られているのかもしれません。


12月3日(火)
[今日の独言(ひとこと)]
先月あたりから腰痛が続いている。腰の右側に痛みがあって姿勢が固まってしまう。しかもそれが椅子に座っている時に強く起きてしまう。背中を丸めて腿を持ち上げた状態、極端に言うと三角座りの体勢が最も腰に負担のかかるようだ。お陰で今は立ったまま、背の高いテーブルにノートパソコンを置いて作業をしている。まるで調子に乗ったスタートアップ企業のようだ。

腰痛を起こした要因は、どうやら10月初めに手伝った稲刈りの影響らしい。30キロの米袋を右へ左へ、上へ下へと何度も運ぶ間に痛めてしまったようだ。興味深いことに、作業中は全く気にならず、その後も数日間は筋肉痛もなくいたって平気なままだった。そして己の鍛え抜かれた鋼の肉体を過信していたら、いきなりズキンときやがった。

そんな風にタイムラグがあったので、初めはどうしてそうなったのかも分からなかった。しかも初期は腰ではなく背中の下のあたりから尻にかけて全てが張り詰めたような感覚だったので腰痛とも思わなかった。そのうちに座って執筆するのが困難になり、これはいけないと考えて特定に至った。この展開はミステリ小説に似ている気がする。予期せぬトラブルに遭遇して少しずつ事態を検証して、時間を遡って推理して真相へと辿り着く。今回の犯人は被害者自身の不注意と不摂生だった。

私は昔から自分の体は他の人より虚弱だと自覚しており、普段からあまり頑張らないこと意識している。今回はその心掛けを無視してやり過ぎてしまったようだ。ちなみに私は、無理をしない、無茶をしない、我慢しないをモットーとしている。これは生きる上で割と有効な訓戒なので皆さんにもお薦めしたい。みんな自分で思うほど強くないからね。なお腰痛はここでネタにできるくらいには回復しました。

[一日三報]
[WIRED] トランプに抗うべく、新世代の“魔女”たちが立ち上がった

呪いや魔術は現代でも有効だと思う。
ただしそれを呪いや魔術と称する訳ではないから恐ろしい。
本当の呪いは人には見えず、見てもそれとは気づかれずに、ひっそりと、ゆっくりと、確実に相手を傷つけ痛めつけていく。
自ら魔女と名乗るのは、むしろ親切な方だろう。

[AFP] 韓国のトップ囲碁棋士、AIを「打ち負かすのは不可能」として引退決断

いよいよそういう時代なのかなと。
どれだけ強くても「AIより弱いんでしょ?」と言われると、思うと、続けられなくなるのかも。
本当は陸上選手に「俺の原チャの方が速いし」と言うようなものだけど、そう認識されるにはもう少し成熟が必要かも。

[Techinsight] 「ピザの注文」を受けた911オペレーター、通報女性の“SOS”に気づく

なんか定期的にアメリカで起きている気がする事件。
機転が利いているようないい話だけど、私の知る限りでも三回ほど目にしています。
「警察24時」みたいに、アメリカの警察機関が市民への宣伝のために使っているのかも。