the shadow of silver
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7月27日(月)
[本日の独言(ひとこと)]


お待たせしました、新刊案内です。
7月31日に実業之日本社より新刊『スパイダー・ウェブ』が刊行されます。

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『スパイダー・ウェブ』 

椙本孝思・著
実業之日本社・刊
2015年7月31日発売
本体価格 694円+税

(あらすじ)

眼鏡型の携帯通信端末「サイグラス」が人々のあいだに普及したある日、見習い寿司職人・和泉淳がアイドルになった恋人の笹村灯里とデートすべく渋谷に向かっていると、謎の電話が入る。「渋谷へは絶対行くな」という警告を無視した淳を待っていたのは、殺人未遂犯としての緊急逮捕だった。

まったくの冤罪だったにもかかわらず、なぜかネット上には犯行声明が事前に流れており、さらにハチ公前のスクランブル交差点で逮捕された際の映像がネットで拡散すると、淳のプライバシーは晒され、執拗な個人攻撃が牙をむく。

次々と罠にはまっていく淳を助けようと集まってくる人々もいるが、いずれもどこか怪しげで、ますます窮地に立たされていくなかで、恋人のアイドル笹村灯里は淳の味方だった。ところが、見えない圧力が……。いったい誰が、何のために淳を陥れようとしているのか? 淳と灯里は窮地を脱することができるのか? 近未来ネット社会の闇と恐怖をリアルに描く、書き下ろしサスペンス!

●紹介ページ:実業之日本社

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「ある日、いきなり犯人になったら」をテーマに、ネットワークに捕らわれた逃げ道のない環境とギスギスした社会観を描きました。
私にとっては久々のITサスペンスです。
よろしくお願いいたします。




7月21日(火)
メールマガジンで連載している小説「星祭り」の前半部を本サイトにて公開しました。
上記リンクかメニューの「本」より、ご一読いただければ幸いです。
なお後半部はメルマガでの連載終了後、そのうち公開いたします。
よろしこ。

[本日の独言(ひとこと)]
「幽霊の正体見たり枯尾花」とは、幽霊かと思ってよく見ると枯れたススキの穂であった。実体を確かめてみると案外、平凡なものであるということ。(大辞林)の意味です。元は横井也有(よこいやゆう)という江戸時代の俳人による句「化物の正体見たり枯尾花」であったとか。まあ幽霊にせよ化物にせよ、受験勉強にせよ、企画会議せよ、チャレンジ精神と探求心をうながす使いやすい言葉だと思います。

先日グーグルの研究者チームは、画像の分類などを行う人工知能を使って作り出した奇妙な画像「Inceptionism」を発表し話題となりました。森の中にないはずの建物が浮かんでいたり、空に魚が泳いでいたり、景色や建物が虹色の色彩になっていたり。抽象画やグラフィックアートのようなこれらの画像は人工知能が見る悪夢などとも言われているようです。

[Google] Inceptionism: Going Deeper into Neural Networks(英語)

[engadget] Google、人工神経ネットワークが見た『夢』を公開

これはグーグルが研究している、画像の認識や特定の仕組みを利用したものだそうです。たとえば、一枚の写真画像に対して「人間」か「景色」か「料理」かを認識する場合、コンピュータの人工知能は画像の配色やパターンを解析した上で、ネットワーク上の膨大なデータベースから似たような画像を探し出して特定させています。それを利用して、実際に特定の条件にあたる画像を元画像と入れ替えて、合成することで、上記サイトにあるような奇妙な絵を作り出しているようです。つまり「枯尾花」の画像に「人間」の画像を合成することで「幽霊」に見える画像ができるという仕組みです。

この画像認識のプロセスは、私たち人間の脳内も同様の方法が用いられています。とはいえ人間には習慣や経験といった画像以外の情報も特定の要素に用いられるので、普通の人はまさか人間の顔を無数の犬に見間違えることはありません。一方で抽象画やサイケデリック・アートの世界ではこれら人工知能の画像と似通ったものを描く人もいます。視覚とは何か、絵とは何かを純粋に考え抜けば同じような世界が導き出せる、というのは面白い発見と感じました。

なおもっと画像を見てみたい方は、それこそグーグルで「Inceptionism」を画像検索してみてください。プログラムは公表されているそうなので、世界中の人が色んな画像と合成させて遊んでいます。

「幽霊の正体見たり枯尾花」の錯覚はホラー映像の定番です。思わぬ認識のズレに恐怖を覚えるからだと思います。木の影が幽霊に見えるというのはあまりありませんが、人に見える、と思ったらただの人形だった、と思ったら怪物だった、というのは「チャイルドプレイ」のお約束です。一方で錯覚のトリックを用いたミステリというのは、絵がないだけにちょっと使い辛そうです。「まだらの紐」だと思ったら……というのも近ごろやるには無理がある話です。

[一日三報]
[ITmedia] 写真でみる「iPhone当選」詐欺の手口

まさかこんなものに引っかかる人はいないと思いますが。
誰でもどこでもスマホを使っている時代なので、うっかりさんもいるかもしれません。
でも近ごろは、特にスマホでのブラウジングだとURLを確認しづらい仕組みにもなっている気がします。
ポンとタップでページが移動しますが、実際にジャンプするまでURLが開示されないのはちょっと危ないように思います。

[読売新聞] ヒトの手、チンパンジーより原始的…指短いまま

ヒトがヒトたるものとして知られている「手」がチンパンジーより原始的とは印象深いです。
でもまあ、いらなかったから進化しなかったというだけの話ではありますが。
たぶん、鼻もゾウさんと比べると原始的といえるのでしょう。

[CNN] ネス湖の「ネッシー」はナマズだった?

ネッシーといえば、一番有名な写真の撮影者が、死ぬ前に嘘であったと自白した件がよく知られています。
とはいえ、こういうのは世間の陰謀論と同じようなもので、写真が嘘だからといってネッシーの否定には繋がらないとして、今も多くの人がそうさくに勤しんでいるようです。
記事にはきっちりオチもついています。



7月14日(火)

[本日の独言(ひとこと)]
「筆耕」(ひっこう)という言葉があります。
文筆で暮らしを立てること。文章を書くことで生活することを意味する熟語です。「筆耕硯田」(ひっこうけんでん)とは硯(すずり)の田を筆で耕すこと。「心織筆耕」(しんしょくひっこう)とは心ではたを織り筆で耕すこと。どちらも同じ意味になります。古臭くて時代にそぐわない言葉だと思いますが、その小難しさがちょっと格好いいのか、文筆業を目指している方は自らをそう名乗ることも多いようです。でも実際に筆耕の生活を送っている人は、生意気に思えてしまうのか、あまり使っていない気がします。

耕すといえば、今年の春からバケツ水田に挑戦しています。言葉の通り、バケツに土を置いて水に浸して簡易な水田を作り米を育てる方法です。小学校の体験学習で行うことも多いようですが、わたしは朝顔とヒヤシンスくらいしか育てた覚えがないのでこれが初めてになります。スーパーの白トレイを使ってお米を水に浸けて芽を出しました。それからやや深いプラスチックの容器に土を入れて米を置いて育苗しました。そしてバケツの水田に移し替えて育てています。ようやく50センチくらいまで育ったところです。

米を作り始めて気づいたのは、その手順の多さでした。泥に米を入れておけば勝手に育つだろうと思っていましたが、なかなかそうもいかないようです。実は昨年も挑戦してみましたが、ちょっと放っておいたら全部枯れてしまいました。失敗すると一年間を無駄にしてしまいます。それから少し勉強してもう一度挑戦しているところです。

手間暇かけても、応援しても、稲は少しずつしか育ちません。筆耕とはよく言ったもので、原稿用紙に一文字ずつ植えて作品を育てていく作業にも似ています。わたしはワープロ書きなので、キーボードを叩いているとさらに耕している感じがします。そういえば、農業は第一次産業ですが、近ごろは創作活動も二次創作(同人誌)に対して一次創作(原作)というようです。わたしもこれからは胸を張って、第一次産業従事者を名乗りたいと思います。税務署は認めてくれませんが。

ちなみに一年がかりで育てても、バケツの水田から収穫できる米の量はお茶碗一杯にも満たないようです。そのあたりも筆耕に似ているような気がします。

[一日三報]
[CNN] 米無人探査機ニューホライズンズ、14日に冥王星に最接近

面白い発見を期待したいところ。
これでアメリカは、水星から冥王星までの「古典的太陽系」のすべてに探査機を送ったことになるとのこと。
それに見合う成果はあったのか。
でも絶対、公表していない情報も山ほどあるよね。

[産経新聞] 昆虫採集で「頭蓋骨」見つかる 死後1年以上、福井の雑木林

ぼくのなつやすみ、ハードモード。
見つけたのは大人のようですが。

[河北新報] 水上スイスイ「ヨット」グモ 宮教大研究

きょうの昆虫。
これが思考ではなく本能に近いものだから驚きます。
『風任せでは水面に落下する可能性もあり、その後のクモの運命を多くの研究者が気に掛けていた。』
こういう訳の分からん情熱のある人たちが人類に新たな発見をもたらします。



7月7日(火)
[本日の独言(ひとこと)]
七月に入って初夏の訪れを感じつつあります。
夏と言えば虫の季節。「あれ、今年は虫の数が少ないんじゃないか?」と思っておられるかもしれませんが、それは毎年のこと。梅雨でうるおい気温が上がる、これからが名実ともに飛躍の時。でも真夏は暑すぎるので我慢して、結局のところ最盛期は晩夏から冬の前までだと思います。俳句の季語でも虫そのものは秋の季節です。まあ旧暦ではありますが。

先日のニュースによると、サハラ砂漠に棲息する「サハラン・シルバー・アント」という格好いい名前のアリが、その銀色の体毛によって効率良く熱に耐えている仕組みが明らかになりました。ひとつは全身を銀色にすることで、宇宙服のように太陽光の反射率を高めていること。もうひとつは体毛の横断面が三角形という独特の形状により、熱放射の作用を促進させて体温を逃していること。二つめの説明はやや不明瞭ですが、この仕組みにより摂氏70度にもなる気温の中、自身の体温を限界の53.6度以下にまで落としているそうです。体温50度で生きられるという時点で凄いとは思いますが。

体毛と言えば同じく、先日のニュースによると南極の深海で希少価値の高い「イエティクラブ」が発見されたそうです。イエティ(雪男)クラブ(カニ)という名の通り、全身が白くて、二本のハサミと六本の足が白い体毛に覆われています。全長は0.5センチから15センチ程度で、カニというよりも巨大なダニを思わせる姿で、海底の熱噴出孔にびっしりと貼り付いています。水温は氷点下を超えるほど冷たいですが、熱噴出孔から噴き出す熱水は400度にもなるという過酷な環境です。イエティクラブはその間の、ぎりぎり適温になるところで棲息しています。もちろん魚など他の海洋生物は生きられません。では何を食べているのかというと、どうやら熱水に含まれる物質を養分にするバクテリアを例の体毛の中で育てて、それを食べて生きているようです。つまり人間以外では極めて珍しい畜産業を営む生物のようです。

小さな生き物の生活を覗くと、その完成されたライフスタイルに驚くとともに、何もそんなに頑張らんでもと同情の気持ちが湧き起こります。夏の訪れとともに興味を持つのも楽しいものです。余談ですが、宇宙で最初に見つかる生物って、やっぱりこういう奴らじゃないかと思います。

[一日三報]
[読売新聞] ワラ人形に女性顔写真、クギ…警察が男性注意

五十男が、公園で、丑の刻参り。
新しいのか古いのかよく分かりませんが、まあ、直接的な行動にでなくて良かったのかなと。

[日経新聞] KDDI、退社後11時間は「出社NO」 全社員1.4万人対象

会員になって続きを読む気もない記事。
これを改善というのか、こうまでしないと改善されないものなのか。
みんな帰れなくなっちゃうね。

[CNN] フィットネスの新たな形? 仮想空間でサイクリング

フィットネスジム、スポーツジムには常に一定の興味を抱いていますが、何となく強制労働感というか、ハツカネズミ感が嫌でいつも無料体験程度でやめてしまいます。
だから、こういう仮想空間演出はなかなか楽しいかも。
ヘッドマウントディスプレイで個人空間に入り込めるとか。
漕いでいる速度より映像が流れる速度をちょっと早めるとか、上げているダンベルを10倍に見せるとかして、「俺すげぇ!感」を出すのも面白いかも。
バーチャル・ジム。